研究課題/領域番号 |
14104021
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
斎藤 春雄 東京大学, 医科学研究所, 教授 (60114485)
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研究分担者 |
舘林 和夫 東京大学, 医科学研究所, 助手 (50272498)
武川 睦寛 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (30322332)
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キーワード | 細胞内シグナル伝達 / ストレス応答 / MAPキナーゼ / ヒト培養細胞 / 酵母 / 分子生物学 / 細胞生物学 |
研究概要 |
1.酵母ストレス応答MAPキナーゼ情報伝達経路の機能と制御機構の解明 酵母ストレス応答MAPキナーゼ経路は高浸透圧に応答して、Hog1 MAPキナーゼを活性化する。我々は既に酵母がSln1とSho1の2種の浸透圧センサーを持つことを報告したが、本年度はSho1によるシグナル伝達機構を解明した。特に重要な成果として、Hog1の活性化には、Sho1による浸透圧シグナルと同時にグルコースセンサーからのシグナルが必要であることが分かった。また、この系に異常がある変異株を用いて、関与する遺伝子を同定しつつある。グルコースセンサーはエネルギー代謝制御に極めて重要だが、その研究は上流(センサー)と下流(グルコース輸送や代謝)に複雑なフィードバックがあるため、解析が遅れていた。本研究によりグルコースシグナルを、フィードバックとは無関係に解析することが可能になった。 2.ヒトストレス応答MAPキナーゼ情報伝達経路の機能と制御機構の解明 ヒトストレス応答MAPキナーゼ経路のMAPKKであるMKK3やMKK6がMTK1(MKK3/6を活性化するMAPKKK)のC末端に結合することを昨年度に報告した。本年度はその結果を更に進めて、MKK3/6におけるMTK1特異的結合部位(ドッキングサイト)を同定した。今までの通説とは異なり、ドッキングサイトはキナーゼ酵素ドメインの外にあった。MKK3/6内のMTK1ドッキングサイトを欠失した変異株や点変異株では、MTK1との結合が全くみられず、同時にMTK1による活性化も起きない。ドッキングサイトに相当するペプチドはMTK1-MKK3/6の結合を強く阻害した。また、他のMAPKK、すなわちMKK4/7,MEK1/2にも同様なMAPKKK特異的ドッキングサイトがあった。このことを利用すればMAPKKの特異的活性化阻害剤が開発できると考えられる。
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