1)ヒトストレス応答MAPキナーゼ情報伝達経路の機能と制御機構の解明 ヒトMTK1 MAPKKK及びその活性化因子Gadd45の構造解析を続行した。MTK1のGadd45結合領域を大腸菌で発現した場合、単独ではきわめて不安定であるが、Gadd45と共発現することにより、Gadd45:MTK1=2:2の四量体と考えられる複合体を大量に精製することが出来る。精製タンパク質のX線結晶法及びNMR法による構造解析を、現在理研と共同で進めている。また、発現用コンストラクトの構造及び発現条件を詳細に検討した結果、ヒトMTK1のGadd45結合領域を単独でも安定に精製することの出来る条件を見出した。Gadd45の結合していないMTK1の構造は、NMR法で検討中である。 2)酵母ストレス応答MAPキナーゼ情報伝達経路の機能と制御機構の解明 今年度は、酵母高浸透圧応答制御における浸透圧センサー機能を解明した。高浸透圧感受性の変異株を多数分離し解析した結果、膜タンパク質Hkr1あるいはMsb2がSho1分子と結合することがSho1活性化に必要であると分かった。Hkr1/Msb2は、高等動物のムチンに高い相同性を持つ粘性多糖タンパク質である。更に、Hkr1/Msb2が浸透圧センサーとしての機能を持つこと、それらの多糖化領域が細胞外部の浸透圧変化に応じて構造を変化させ、結果としてSho1の活性化を引き起こすこと、などを見出した。
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