研究課題/領域番号 |
14201002
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 龍谷大学 |
研究代表者 |
上山 大峻 龍谷大学, 国際文化学部, 教授 (00090192)
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研究分担者 |
北村 高 龍谷大学, 文学部, 教授 (20224967)
入澤 崇 龍谷大学, 経営学部, 教授 (10223356)
小田 義久 龍谷大学, 文学部, 教授 (60081014)
白須 淨眞 立志舘大学, 講師 (10330713)
徐 光輝 龍谷大学, 国際文化学部, 助教授 (70278498)
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キーワード | 大谷探検隊 / 旅順博物館 / 写経断片 / 漢文写本 / 同定 |
研究概要 |
本年度の研究計画は、文献資料の撮影と同定作業を行うことであった。 当該計画を実施するため、8月下旬から9月初旬、および12月下旬の二回にわけ、研究代表者および研究分担者が旅順博物館を訪問した。その成果については以下の通りである。 1)全点にわたる撮影については、まず600万画素デジタルカメラによる予備的撮影を行い、漢文写経断片の貼付された藍色の冊子「藍冊」(ブルーノートと呼称する)52冊の前ページ撮影に向けた体制が整えられた。 2)同定作業は、主としてブルーノートに貼付けされた断片について行われた。検索には、55巻までの大蔵経テキストデータと検索ソフトをインストールしたノート型コンピュータを使用した。 ・断片にかかれた文書を、『大正新脩大蔵経』所収経典・典籍と比較検討し、経典名・経典番号・所在箇所などを調査した。 ・同定作業の結果、5世紀頃の古い写本と考えられるもの(『賢愚経』)や、筆跡や紙質などから翻訳されて程なく写されたと考えられるもの(『道行般若経』)が発見された。 ・調査途上ながら、次のような経論が同定された。 妙法蓮華経、金光明経、賢愚経、道行般若経、大般若波羅蜜経、大方広仏華厳経、大般涅槃経、維摩詰所説経、摂大乗論釈、 3)汎用データベースソフト「ファイルメーカーPro.」を用いた資料整理のため、デジタルカメラによる断片写真のデータ化から、読み込み、入力項目(資料番号・断片番号・形状・紙質・時代・同定・異同など)を提示し、共同作業の具体的な方法を協議した。 9月中旬には、美術考古資料の同定と保存に関する専門的知識を有する研究者との会議を開き、所蔵資料整理の予備調査を行った。 3月下旬には、旅順博物館側館長ほか研究員を招聘し、年次計画の総括と次年度以降の研究計画実施の協議を行った。共同研究を行う研究員相互に、コンピュータを利用した写経断片の同定調査をはじめ、紙質、年代判定の知識を共有したほか、大谷探検隊の位置づけや、収集品の分散経緯等に関する認識を高めることができた。 また、これまで大谷探検隊収集文献資料の出版に従事してきた、株式会社法蔵館に対し、ブルノートの影印出版を依頼し、撮影の方法や、現地への搬入機材の選定及び出版書式についての具体的な調整を行った。 そのほか、研究分担者に、東京国立博物館、浦潮本願寺跡地、大連図書館への出張を依頼し、大谷探検隊収集資料や大谷光瑞氏の事跡に関する調査研究を行った。
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