研究課題/領域番号 |
14201002
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研究機関 | 龍谷大学 |
研究代表者 |
上山 大峻 龍谷大学, 国際文化学部, 教授 (00090192)
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研究分担者 |
徐 光輝 龍谷大学, 国際文化学部, 助教授 (70278498)
北村 高 龍谷大学, 文学部, 教授 (20224967)
入澤 崇 龍谷大学, 経営学部, 教授 (10223356)
赤尾 栄慶 京都国立博物館, 学芸課, 保存修理指導室長
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キーワード | 大谷探検隊 / 旅順博物館 / 写経断片 / 漢文写本 / 同定 |
研究概要 |
本年度の研究計画は、漢文写経断片文の撮影と同定作業を行うことであった。 当該計画を実施するため、文物を保管する中国国家文物局幹部と連携をとりながら、8月23〜27日と3月19〜29日の二回にわけ、デジタルアーカイブの専門的知識を有する株式会社日本写真印刷のカメラマンに撮影依頼した。その成果については以下の通りである。 1)漢文写経断片の貼付された藍色の冊子「藍冊」(ブルーノートと呼称する)52冊の全ページ撮影が完了した。 2)台紙に貼り付けられたもの以外の断片も数千点にのぼり、相当数が撮影できた。 3)同定作業は、旅順博物館と龍谷大学とで分担して行われ、検索には大蔵経テキストデータ(台湾CBETA電子仏典)と検索ソフト(accelon multilingual search engine)を使用した。 ・第一回訪問において撮影された16冊を8冊ずつ分担して同定作業を開始した。 ・断片にかかれた文書を、『大正新脩大蔵経』所収経典・典籍と比較検討し、経典名・経典番号・該当箇所などを調査した。 ・同定作業の結果、5〜6世紀頃の古い写本と考えられるものや、筆跡や紙質などから翻訳されて程なく写されたと考えられるもの、龍谷大学所蔵断片と接合可能なものも発見された。 ・第二回訪問において、双方で行われた同定作業と入力作業済みのデータを交換し、双方の録文や、整理方法における問題点を調整し、最終的な入力項目と方法を決定した。 ・入力作業については、OSと言語環境を考慮して計算ソフトExcelで整理を行うこととした。 4)将来の汎用データベースソフトを用いた資料整理のため、デジタルカメラによる断片写真のデータ化から、読み込み、入力項目(断片番号・形状・紙質・時代・同定・異同など)など共同作業の具体的な方法を協議した。 9月中旬には、写本研究に関する専門的知識を有する研究者との会議を開き、海外の写本研究者との交流を図った。 2月14日〜23日には、旅順博物館側館から、房學慧・劉寶衛の両研究員を龍谷大学に招聘し、コンピュータを利用した写経断片の整理をはじめ、紙質、年代判定の知識を共有したほか、大谷探検隊の位置づけや、収集品の分散経緯等に関する認識を深めることができた。 そのほか、京都国立博物館の所蔵資料との検討、保管修理の方法などについて大谷探検隊収集資料や大谷光瑞氏の事跡に関する調査研究を行った。 また引き続き、旅順博物館所蔵資料の影印出版に向けて、株式会社法蔵館との具体的協議を行った。
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