研究課題/領域番号 |
14201007
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
肥塚 隆 大阪大学, 総合学術博物館, 教授 (90027988)
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研究分担者 |
深見 純生 桃山学院大学, 文学部, 教授 (40144555)
上野 邦一 奈良女子大学, 生活環境学部, 教授 (70000495)
DURT Hubert 国際仏教学大学院大学, 教授 (20288070)
藤岡 穣 大阪大学, 助教授 (70314341)
淺湫 毅 京都国立博物館, 主任研究官 (10249914)
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キーワード | 東南アジア / 彫刻史 / インド化 / ボロブドゥール / プランバナン / アンコール / ルンバブジャン / セデス |
研究概要 |
本研究は、東南アジア史の碩学セデス以来の「インド化」概念に立脚した東南アジア美術史を批判的に検証し、インド、東南アジア、中国を作品にそくして有機的に結びつけた新たなアジア美術史の体系を構築することを目的とし、その第一段階として東南アジアの「インド化」が最も活発に行われた古代の、特に彫刻作品を対象として調査、研究をすすめるものである。具体的には、セデスをはじめとする従来の歴史家、美術史家の研究を批判的に検証し、「インド化」概念、またそれに基づく東南アジア美術史の言説がどのように構築されたのか、その問題点はどこにあるのかを明らかにするとともに、石彫とブロンズの彫刻作品について網羅的に調査し、新たな様式的位置づけをはかり、図像解釈を試みることが課題である。 3年計画の2年目にあたる本年度は、昨年度に引き続き定期的に研究会(公開)を開催するとともに、現地における作品調査、関係資料の収集につとめた。研究会は、第7回「アマラーヴァティー大塔の造営基盤-奉献銘文からの考察-」(大英博物館研究員島田明氏)、第8回「古代ジャワにおけるヒンドゥー教パンテオンについて」(早稲田大学理工学総合センター助手小野邦彦氏)、第9回「バンコク国立博物館の彫刻作品」(淺湫毅)、第10回「クメール宗教建築の伽藍構成及び設計手法について-East MebonとPreRupにおける寸法構成及び施工手順の分析を中心として-」(日本大学大学院理工学研究科小島陽子氏)、第11回「初期チャールキヤ朝の遺跡と彫刻(2)-アイホーレ、パッタダカル、マハークータ、アーランプル-」(肥塚隆)、第12回「釈尊伝の新研究-特に菩薩時代の罪と苦行-」(Hubert DURT)、第13回「グラヒ仏の歴史的背景-12〜14世紀のナコンシータマラート-」(深見純生)とメンバー各人の問題意識に基づき研究成果を報告するとともに、ゲストスピーカーを招き、あるいは東南アジア史学会関西例会と共催することによって視野の拡大に努めた。さらに、3月末には第14回「バンテアイ・クデイ新発見の仏像群をめぐって(仮題)」(上智大学大学院外国語学研究科COE研究助手丸山雅子氏、上野邦一)を開催する予定である。 現地における作品調査、資料収集は夏季、冬季の2度にわたって実施した。夏季にはマレーシア(ルンバブジャン遺跡ほか)、インドネシア(ジャカルタ国立博物館、中部ジャワ諸遺跡ほか)、冬季にはカンボジア(アンコール遺跡群、バッタンバン、サンボール・プレイ・クックほか)、タイ(バンコク国立博物館、アユタヤ、ナコーン・パトム)の調査を行った。いずれも、35ミリによる撮影のほか、デジタルカメラによる画像データの収集につとめ、そのデータベース化にも取り組んでいる。
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