研究課題/領域番号 |
14201008
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
大橋 一章 早稲田大学, 文学部, 教授 (80120905)
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研究分担者 |
河合 隆史 早稲田大学, 国際情報通信研究科, 助教授 (90308221)
肥田 路美 早稲田大学, 文学部, 助教授 (00318718)
野呂 影勇 早稲田大学, 人間科学部, 教授 (70122851)
井上 哲理 神奈川工科大学, 工学部, 助教授 (30223259)
光谷 拓実 奈良文化財研究所, 埋蔵文化財センター, 研究室長 (90099961)
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キーワード | 文化財 / 3次元データ保存法 / X線CTスキャン法 / 仏像 / 法量計測 / 東大寺 / 円教寺 / 斑鳩寺 |
研究概要 |
本年度は、昨年度に引き続き、仏像の調査をおこない、その研究成果を学会で発表した。本年度の研究実績は以下のとおり。 (1)X線CTスキャン法による仏像の3次元断層写真撮影 本年度は、奈良県東大寺の天部像2体、兵庫県円教寺の地蔵菩薩像など計5体、同県斑鳩寺の如意輪観音像1体に対してX線CTスキャン法による3次元断層写真撮影をおこなった。 (2)X線CT画像からの仏像の内部構造の3次元構築とデジタルアーカイブ制作 X線CTスキャン法で得られた断層写真をもとに、コンピュータ上で3次元内部構造を構築し、デジタルアーカイブを制作した。その結果、(1)仏像の法量計測が0.01ミクロン・レベルにまで可能となった。従来の法量計測は調査者によって区々であったが、本研究によって正確なデータを提示できるようになったことは画期的といえる。(2)東大寺の天部像は、パーツごとにばらばらになっていたが、取得したCT画像を3次元データとして構築して完形に組み立てることに成功した。ここに平安時代の天部像の復元をみたのである。(3)円教寺地蔵菩薩像と斑鳩寺如意輪観音像は内部構造を明らかにすることで、これらの制作時期を南北朝時代と確定し、兵庫県における南北朝時代の新作例として学会に報告した。 (3)本手法の文化財調査・研究における有効性の検討 本手法を、能樂に用いられる鼓の調査に試みた。鼓の胴やラッパ状の部分は厚さなどが時代によって微妙に違い、異なる音色を醸し出しているが、その部分は細く薄くつくられているために調査は困難であった。本調査手法は、透視撮影とその3次元内部構造を構築することでその問題点を解決し、小鼓の時代による変遷を明らかにすることを可能とした。
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