研究課題/領域番号 |
14201008
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
美術史
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
大橋 一章 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (80120905)
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研究分担者 |
野呂 影勇 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (70122851)
肥田 路美 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (00318718)
河合 隆史 早稲田大学, 大学院・国際情報通信研究科, 助教授 (90308221)
光谷 拓実 奈良文化財研究所, 埋蔵文化財センター, 研究室長 (90099961)
井上 哲理 神奈川工科大学, 工学部, 助教授 (30223259)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2005
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キーワード | 文化財 / 美術史 / X線CTスキャン法 / 三次元データ / 仏像彫刻 / 時代判定 / 製作技法 |
研究概要 |
本研究は木質文化財、とりわけ仏像彫刻の調査・研究において医療用X線CTスキャン法を用いた保存・修復手法を確立することを目的とし、平成14年度から17年度までの4年間、文系・理工系の研究者が連携して調査・研究を行った。医療用X線CTスキャン法を用いることの最大の利点は、非破壊・非接触のまま文化財の内部構造の情報を容易に得られる点にある。とくに仏像の表面に後世の補修による錆漆が塗られた事例では、X線CTスキャン法がきわめて有効で、断層撮影したスライス画像から後世の補修部分を除去し、それを再構築することによって、修復前の仏像の姿をコンピュータディスプレイ上に再現することができた。つまりX線CTスキャン法を用いれば、文化財の仮想復原が可能であり、作品の再評価への道を開くことにもなる。さらに得られた成果は下記のとおりである。 1)X線CTスキャン法による文化財の調査では0.001ミリ単位での計測が可能なため、これまで計測者によって必然的に差異が生じていた法量計測を正確に行うことができるようになった。 2)仏像の体内に納入物がある場合、X線CTスキャン法を用いることで、像を解体することなく納入物の外形を把握することができるようになった。また像の内部構造も明らかにできるため、制作年代の手がかりが得られるようになった。さらに仏像修復の予備調査としてもきわめて有効であった。 3)X線CTスキャン法によって得られたデータを用いて、像の複製を造ることができた。文化財は破壊されると二度と見ることはできず、従来の写真記録はもとより、3次元スキャンも外観の記録のみにとどまり十分な再現性は期待できない。それに対し本研究のX線CTによる手法は内部構造までも明らかに記録できることから、文化財の確かな再現が可能となった。今後この手法が広く木造文化財の保存・研究に応用されることが期待される。
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