研究分担者 |
松橋 有子 広島大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (10119018)
松田 文子 広島大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (50118048)
小林 正夫 広島大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (00162016)
河原 純一郎 広島大学, 大学院・教育学研究科, 講師 (30322241)
宮谷 真人 広島大学, 大学院・教育学研究科, 助教授 (90200188)
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研究概要 |
本年度以降の研究において,光トポグラフィ装置並びにサーモグラフィーによる心理生理的反応が乳幼児から測定することの可能性について,測定値の安定性と安全性の面から確かめ,研究遂行における測定方法の改善についての検討を行った。その結果,光トポグラフの測定では視覚,触覚,聴覚刺激に対する乳幼児の脳活動に伴う脳血流が,脳の特定部位における酸化ヘモグロビンの増加として現れること,また,これらが単に認知活動だけでなく情動活動と連動している可能性が,顔面皮膚温度の変化と対応していることから示唆された。このことから,乳幼児の認知・情動的クオリアの検討に当たっては,母親の顔刺激並びに音声,触覚的接触等に対する乳幼児の心理生理的反応に敏感に現れることが明らかとなり,今後の研究に当たっては,母子相互作用との関連で乳幼児の認知・情動的クオリアの発達を検討する必要があることが示された。 また,脳損傷者の認知・情動的クオリアの神経心理学的研究については,相貌失認症状を示す後頭葉部位の出血性梗塞患者に関する全体処理システムの様相を検討した。その結果,顔の認知においては,それ以外の対象物の認知に比べ,顔刺激の構成要素間の空間関係を処理して全体的形態を把握するシステムに障害が認められた。さらに,弁別学習課題により脳損傷患者の高次情報処理能力の機能不全を検討したところ,刺激要素の処理に関わる前頭前野の移行能力の不全に関係することが示唆された。これらの損傷研究と脳機能の未発達な乳幼児における認知・情動的クオリアの関連性を,発達神経心理学的観点から今後検討する必要がある。
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