研究課題/領域番号 |
14201013
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研究機関 | 日本女子大学 |
研究代表者 |
河内 十郎 日本女子大学, 家政学部, 教授 (30083710)
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研究分担者 |
大六 一志 武蔵野大学, 文学部, 助教授 (10251323)
鳥居 登志子 日本女子大学, 人間社会学部, 教授 (70060671)
河村 満 昭和大学, 医学部, 教授 (20161375)
能智 正博 東京女子大学, 文理学部, 助教授 (30292717)
小田 浩一 東京女子大学, 現代文化学部, 教授 (60169307)
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キーワード | 光トポグラフィー / 言語の半球優位 / 側化指数 / 段階的優位性 / 脳梁無形成症 / 音楽技能習得 / 脳幹連部位の局在化 |
研究概要 |
脳損傷者班は、光トポグラフィーによる言語機能の計測に関する基礎的なデータを収集する目的で、多数の健常者を対象に、語想起課題遂行中のヘモグロビン動態を計測して言語の半球優位性を検討した。結果は、右利きの多くは左半球優位で左利きに右半球優位の出現率が高いという、従来の報告と一致するものであったが、言語課題によるヘモグロビンの増加量を左右半球で比較する側化指数を求めると、同じ左半球優位の場合でも、左半球の増加がきわめて顕著な事例からわずかに右半球より高い事例までさまざまで、言語の半球優位性は、左か右かに2分されるのではなく段階的な性質をもち、非常に強い左半球優位と非常に強い右半球優位を両端とする連続体上に各個人が位置することが明らかとなった。さらに、脳梁無形生症の事例で同様の計測を行ったところ、言語が右半球優位であることが確認された。この症例は、鏡映描写課題や聴覚同期タッピング、視覚同期タッピングなどで、健常者とは異なる半球優位性がとらえられているが、この点が言語課題によって裏付けられたとみることができる。 乳幼児班は、近年注目されている言語と音楽の発達の関係を検討する目的で、まず成人を対象に、ピアノ演奏の熟練者と初心者で、なじみのある曲となじみのない曲を演奏するときの脳のヘモグロビン動態を計測した。その結果、初心者は演奏時に脳全体が活性化を示すが、熟達者は活性化部位が、左半球のブローカ野近辺と右半球のその対応部位に比較的限局していることが示された。この結果から、音楽も言語と同様に、習得初期には脳の広範な部位が関係し、習得が進むにつれて関係部位が限局していくことが明らかとなった。
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