研究課題/領域番号 |
14201014
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
山岸 俊男 北海道大学, 大学院・文学研究科, 教授 (80158089)
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研究分担者 |
山岸 みどり 北海道大学, 高等教育機能開発総合センター, 教授 (20211625)
高橋 伸幸 北海道大学, 大学院・文学研究科, 助教授 (80333582)
結城 雅樹 北海道大学, 大学院・文学研究科, 助教授 (50301859)
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キーワード | 信頼 / 協力 / 国際比較 / 囚人のジレンマゲーム / 信頼ゲーム / 共感 / 社会的知性 / 評判 |
研究概要 |
本研究は、機会追求型の社会的知性が「安心社会から信頼社会へ」の転換を可能とするために必要とされる条件としての心理・社会的基盤を明らかにすることを最終的な目的として行われた。この目的を達成するために、実験室の内部および実験室を越えたインターネット上に設定された「実験社会」を用いて、関係の固定化による「安心」の提供が不可能な状況を作り出し、関係の固定化を媒介しない形での自発的な社会秩序の形成を可能とする原理を明らかにした。一連の実験研究を通して、まず第1に、機会主義的関係の信頼関係への変換に際してリスクテイキングが不可欠の役割を果たすこと、そして更に、この変換のために必要とされる社会関係的および社会制度的な条件を明らかにした。研究全体の最終年度である平成17年度には、以下の知見および理論展開が達成された。◆信頼関係の形成とリスクテイキングの関係を調べるための実験デザイン(依存度変更型囚人のジレンマ)を開発し、信頼関係の形成のためには、その過程でリスクテイキングが不可欠であることを明らかにした。同時に、信頼関係形成にあたりリスクテイキングの果たす役割が日本人被験者よりもアメリカ人被験者でより大きいことを明らかにした。◆自集団の成員への信頼が、集団へのアイデンティティーにもとづく無条件な信頼ではなく、人々は一般に自分の集団の成員に対して好意的行動を取るだろうという信念にもとづく、集団協力ヒューリスティックの結果であることを明らかにした。◆社会的知性と一般的信頼との関係についての日米比較研究の結果にもとづき、一般的信頼の形成に際して社会構造の違いが及ぼす影響についての分析を進めた。◆自己維持的共有信念体系として文化を理解するための理論的枠組みを発展させ、心の文化差の核が、社会・経済的均衡状態の縮約表現として理解可能であることを明らかにした。
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