研究概要 |
本研究は,全年齢階層における健康状態の不平等,および,高齢者における要介護・要支援状態の不平等において,年齢や性別などのデモグラフィックな要因のみならず社会経済的要因(職業・所得・学歴等々)が影響を及ぼしているか否かを明らかにすることを目的として開始された.本年度も昨年度一昨年度に続き,山崎喜比古助教授を中心に,平成12年度に科学研究費で実施した全国調査のデータ分析を継続した.残念ながら完成にはいたらなかったが,ジャーナル投稿へあと一歩というところまで到達した.平成15年度は,平成12年度調査のサンプル数不足を補うため,サンプル数を3000にまで増やし,また,健康に関する収録変数をSF36をはじめとして多数の新変数を採用した全国調査を実施したが,この調査のデータ・クリーニングと分析を開始した.職種については自由回答方式を採用したため,アフターコードに時間を要したが,石田教授を中心に作業を進めた結果,データの暫定版を用いた分析が可能となった.データの完成版の作成が平成17年度の課題である.16年度の後半では暫定版データを利用した分析を新たに数人の研究協力者に参加してもらい試行錯誤した.これらの全年齢階層を対象とした分析を進める傍ら,本年度は当初の計画どおり,研究分担者の平岡教授を中心に高齢者を対象とした新たな調査を実施した.65歳から79歳の男女を母集団に,層化二段無作為抽出法によって100地点,1350サンプルを抽出した.高齢者の健康状態に関しては,活動能力指標を採用し,また,社会参加関連の変数を充実した.現在はまだ素データを収集した段階であるため,本格的な分析は17年度の課題となる.
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