研究課題/領域番号 |
14201020
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
盛山 和夫 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (50113577)
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研究分担者 |
池 周一郎 帝京大学, 文学部, 助教授 (20246060)
土場 学 東京工業大学, 大学院社会理工学研究科, 助教授 (50253521)
米村 千代 千葉大学, 文学部, 助教授 (90262063)
伊藤 賢一 群馬大学, 社会情報学部, 助教授 (80293497)
数土 直紀 学習院大学, 法学部, 教授 (60262680)
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キーワード | 高齢化 / 少子化 / 公共性 / 共同性 / 正義 / リベラリズム / 年金 / 人口 |
研究概要 |
本年度は最終年度であり、個別のテーマについてさらに探究を深めるだけでなく、これまでの研究成果をまとめた形で刊行する作業を進めた。まず、近く刊行される予定の土場・盛山編『正義の論理-公共的価値の規範的社会理論』と盛山『リベラリズム再考』などにおいて、現代リベラリズムを超える社会学的な規範理論の構築に向けた作業を行い、社会学が経験的研究に限られることなく、公共性の価値理念をベースに規範的社会理論を展開する可能性と必然性を論じた。また、文化多元主義のもとでの公共的な市民社会と平等主義の理念について、社会学的観点からラディカルに考察するとともに、「福祉社会」の理念との関係を明確にすることを試みた。高齢化の問題に関しては、前年度に引き続いて赤川を中心に、少子化に対する女性の就業率や育児手当などの効果についての言説が、実証的な要因分析を行いながら批判的に検討された。また、年金財政を中心とする高齢化社会の持続可能性の問題に関しては、長期的人口推計に基づいて、2004年の新しい年金制度についてのシミュレーション分析を詳細に行い、実際の財政的危機のピークは団塊の世代が高齢者となる2010年〜2030年のあいだではなくて、むしろ、団塊の世代の二世達が高齢者となる2040〜2060年のあいだであること、マクロ経済スライドの適用は危機の回避に有効であるが、柔軟に適用しなければ、高齢者の年金水準を現役世代の所得水準に比して著しく低下させてしまうことなどを明らかにする作業を終了した。 このようにして、本研究は、高齢化社会の公共性と共同性の問題についての社会学的探究に一定の基盤を構築し、研究成果報告書を作成した。補助金によるプロジェクト終了後も引き続き各研究メンバーによって成果が発信される予定である。
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