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2003 年度 実績報告書

カラーシンチレータシステムX線透過装置の文化財への応用(1)

研究課題

研究課題/領域番号 14201030
研究機関(財)元興寺文化財研究所

研究代表者

菅井 裕子  (財)元興寺文化財研究所, 研究部, 研究員 (20250350)

研究分担者 川本 耕三  (財)元興寺文化財研究所, 研究部, 研究員 (10241267)
山内 章  (財)元興寺文化財研究所, 研究部, 研究員 (90174573)
尾崎 誠  (財)元興寺文化財研究所, 研究部, 研究員 (50224209)
植田 直見  (財)元興寺文化財研究所, 研究部, 研究員 (10193806)
村田 忠繁  (財)元興寺文化財研究所, 研究部, 研究員 (50210042)
キーワードカラーシンチレータシステム / X線透過装置 / 絵馬 / 顔料 / 江戸末期 / 絵具 / ステップゲージ / イメージインテンシファイヤー
研究概要

今年度は大きく2つの研究を平行して行った。第一は絵馬の基礎データの収集である。嵯峨人形の家所蔵絵馬300枚について、データベース化するためまずデジタル写真撮影、目視による顔料観察、赤外線写真撮影を行なった。さらにその一部について顔料のケイ光X線分析を行なった。
次に絵馬のX線透過撮影を行ったが、その前に絵馬の顔料分析に応用するための基礎データおよび未知の顔料に対してその種類を推定するためのインジケータとして使用するため、代表的な顔料を用いてステップゲージを作成した。このゲージはPETフィルム上に有機バインダーと混合した顔料を均一に塗布し、それらを1枚から7枚まで順次重ね、7段階の厚みをもつもので、顔料の違うもの(赤色系、青色系、黄色系、緑系、白系から合計8種類を選んだ)、粒子サイズの違うものを準備した。このゲージを用いてX線のエネルギー(管電圧、管電流値)を変化させ、輝尽性蛍光シート上にデジタル透過画像として取り込んだものを透過輝度値として数値化し、塗布顔料の重量との関係をグラフ化した。そしてこのグラフの曲線や傾きの傾向が顔料の種類と相関があるか調べた。その結果、かなり粒子が大きい場合は充填密度に差があるため傾向が異なるものも現れたが、それ以外は顔料の厚さ・粒度に関係なく顔料の同一成分ごとに特徴的な傾向が見られることがわかった。これらの結果をもとに、絵馬300枚について撮影条件を一定にしてX線透過撮影を行った。
今年度はX線透過撮影に関してはデジタル透過画像としてデータを収集しただけであるが、これらは来年度実施する残りの絵馬のX線透過撮影結果やその他の分析・観察・撮影結果などとあわせデータベース化し顔料の種類を特定できるか検討する予定である。

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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