研究課題/領域番号 |
14201031
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
保立 道久 東京大学, 史料編纂所, 教授 (70092327)
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研究分担者 |
田中 博美 東京大学, 史料編纂所, 助教授 (60111572)
山家 浩樹 東京大学, 史料編纂所, 教授 (60191467)
林 譲 東京大学, 史料編纂所, 教授 (00164971)
末柄 豊 東京大学, 史料編纂所, 助手 (70251478)
原田 正俊 関西大学, 文学部, 助教授 (40278883)
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キーワード | 檀紙 / 引合 / 室町分化 / 杉原紙 / 禅宗 / 蔭涼軒日録 / 強杉原 / 古文書学 |
研究概要 |
本年度の研究は、禅宗寺院文書の古文書学研究の基礎となる文書料紙論に集中した。その大枠は下記のようになる。(1)料紙分類の基礎情報必須項目の確定と視認技法の開発(料紙法量・重量・厚さ・密度、費目・糸目などの漉痕、填料米糊の有無視認、非繊維物質の相対量など)。(2)上記諸項目の調査によって、最上紙としての檀紙の紙質分類を行い、澱粉の有無による料紙分類の有効性を非澱粉系の「引合」の範囲の拡充、澱粉系の「杉原(奉書紙)」の抽出を軸としてを確認した。(3)文書様式と文書料紙の対応論を、たとえば、後期室町幕府における御内書への引合使用と典型行政文書としての奉行人奉書への杉原奉書紙(白麻、澱粉、0.2ミリ厚)使用、また禅宗寺院における引合(中)(しぼ)などの疏・定文などへの特徴的使用などを発見した。これらは中世文書の緻密な原本観察によってはじめて可能となったものであり、その意味は大きいと考えている。この結論をまとめ、料紙調査の調書とデータベースシステムを確定する作業は来年度の整理にむけて予定通り進展している。なお、来年度に予定している『蔭涼軒日録』のデータベース入力について、戦後改版における校訂者の著作権継承者の承諾書をいただき、版権者(臨川書店)の基本的了解もえたことを附言する。なお、上記の予定された研究計画と同時に、禅宗史と古文書学に関する理論から文化史にいたる様々な研究の試みが行われたことも特筆したい。
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