研究課題/領域番号 |
14201040
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研究機関 | 愛知県立大学 |
研究代表者 |
吉瀬 征輔 愛知県立大学, 外国語学部, 教授 (10086209)
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研究分担者 |
奥田 伸子 名古屋市立大学, 人文社会学部, 教授 (00192675)
長尾 伸一 名古屋大学, 大学院・経済研究科, 教授 (30207980)
椿 達也 中京大学, 経済学部, 助教授 (50278248)
栗田 和典 静岡県立大学, 国際関係学部, 助教授 (90249300)
坂下 史 東京女子大学, 文理学部, 助教授 (90326132)
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キーワード | 公共圏 / Joanna Innes / John Brewer / Rohan McWilliam |
研究概要 |
本年度の共同研究の目標は、研究課題に関する国際的な研究状況を把握し、本研究グループのこれまでの成果の達成度をはかり、最終報告書にむけての方向性を見定めることにあった。具体的には、海外から3名の研究者を招聘し、招聘研究者の報告について討論するだけでなく、研究分担者も招聘研究者と共に英語で発表し(ワークショップの開催)、近代イギリスの公共圏の多様なあり方について理解を深めた。招聘研究者との共同研究は、次の通りである。 (1)Joanna Innesとのワークショップ(5月1日・2日、愛知芸術文化センター)。オクスフォード大学の教員で、わが国のイギリス史研究者によく知られているInnesが、18世紀イギリスを対象とした公共圏研究の現状について報告し、本グループからは分担研究者の大野誠、長尾伸一、勝田俊輔、また大橋里見(立教大学大学院博士課程学生)が各自の研究成果について英語で発表した。 (2)John Brewerの講演討論会(6月6日、名古屋市立大学)。カリフォルニア工科大学教授で、わが国でも「軍事財政国家論」で著名なBrewerが18世紀イギリスの公共圏と政治家のスキャンダルの関係について報告し、研究分担者と公共圏研究について長時間にわたって討論した。 (3)Rohan McWilliamとのワークショップ(7月3日・4日、名古屋市立大学)。ケンブリッジのアングリア・ポリテクニーク大学のMcWilliamが、19世紀の労働者階級の公共圏について報告し、本グループからは、研究分担者である松本佐保、栗田和典、江里口拓、奥田伸子が、19世紀から20世紀にかけてのイギリスでの公共圏に関して、それぞれ英語で報告を行った。 これらの活動の結果、英米両国においても1990年以降、公共圏に関する歴史研究が急速に拡大している状況が確認されるとともに、本共同研究の特色も明確になった。最近の公共圏研究においては、公と私の境界線をめぐって問題設定を行っているものが少なからず見受けられるが、本共同研究では「私」ではなく、任意団体などの社会組織を基礎として公共圏を論じている。この方が、権力とのかかわりを具体的に指し示すことができよう。こうして、本研究課題の設定が、正しかったことがあらためて確認された。招聘研究者との討論内容については、紙幅の関係から割愛せざるをえない。 海外研修に関しては、江里口拓、栗田和典、椿達也がイギリスで資料調査を行った。
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