研究課題/領域番号 |
14201040
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研究機関 | 愛知県立大学 |
研究代表者 |
大野 誠 愛知県立大学, 外国語学部, 教授 (60233227)
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研究分担者 |
奥田 伸子 名古屋市立大学, 人文社会学部, 教授 (00192675)
長尾 伸一 名古屋大学, 大学院・経済研究科, 教授 (30207980)
椿 建也 中京大学, 経済学部, 助教授 (50278248)
栗田 和典 静岡県立大学, 国際関係学部, 助教授 (90249300)
坂下 史 東京女子大学, 文理学部, 助教授 (90326132)
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キーワード | 近代イギリス / 公共圏 / 任意団体 / ハバーマス / パブリック / オフィシャル |
研究概要 |
本年度は、本共同研究の最終年度にあたるため、本研究課題に関する研究成果を学会で公表し、批判を仰ぐ活動を行った。具体的には、本共同研究の分担研究者が中心となり。2005年5月'15日に神戸大学で開催された日本西洋史学会第55回大会の小シンポジウム「近代イギリスにおける公共圏」を企画し、個別報告5件を含めて、討論を行った。 このシンポジウムの概略は、,次の通りである。最初に、大野誠と坂下史が「問題提起」を行い、近代イギリスに焦点をあわせた公共圏研究の意義や、現在のイギリスにおける研究動向を明らかにし、このテーマが伝統的な「市民社会論」とは異なる理解を提起する可能性があることを示した。この後、5件の個別報告に移った。それぞれについて、テーマと報告者は次の通りである。 (1)栗田和典「死刑囚の伝記-18世紀はじめのロンドンにおける犯罪報道-」 (2)長尾伸一「18世紀ブリテンにおける哲学的言説の複数性」 (3)松本佐保「ロンドン、ナショナル・ギャラリーにおける「公共圏」の創出-イタリア・ルネサンス絵画コレクションを中心に」 (4)江里口拓「労働者階級の公共圏と知識人-ウェッブ夫妻を中心に-」 (5)奥田伸子「女性庶民院議員と女性の「公共圏」1930-1945年」 以上に対するコメンテイターは、安藤隆穂、勝田俊輔が担当した。当日の討論で提起された意見については、以上の概要とともに、『酉洋史学』220号の「大会記」に掲載されているので、ここでは割愛する。 なお、最終報告書は、本共同研究のために招聘した国内外の研究者の報告5件をも含めて、全編を英語論文で公表する。この共同研究の結果、幾つかの重要な知見が得られた。たとえば、第一に、18世紀イギリスを「市民的公共圏」のモデルと捉えたハバーマスの理解は、さまざまな問題点をはらんでおり、そのままでは通用しないこと。第二に、近代イギリスの公共圏において、任意団体が大きな役割を果たしたこと。第三に、近代のイギリスでは、「パブリック」と「オフィシャル」の関係が多様で、連続していること、などである。
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