研究課題
基盤研究(A)
本研究の目的は、先史時代終末期の琉球列島の生活の実態を把握して、その後沖縄を中心に急激にすすむ変化への理解を深めようとするものである。具体的には、5〜8世紀の琉球列島を対象に、(1)奄美地域と沖縄地域の差を明らかにすること、(2)遺跡の調査において考古学と自然科学の共同作業を実現し、生活復元の効果を高めること、(3)7〜8世紀のヤコウガイ交易の仮説を検証すること、の3点である。以下に、これについておこなった研究の成果をのべる。1.琉球列島の砂丘に立地する3遺跡(伊江島のナガラ原東貝塚、奄美大島の安良川遺跡・マツノト遺跡)において発掘調査を実施し、紀元前2世紀から紀元10世紀にいたる生活の跡を検出した。2.3遺跡で採取した土壌をもとに、文化層における植物遺体、動物遺体、貝類遺体の分析を行い、6〜8世紀におけるに奄美と沖縄の生業の差を明らかにした。差異は自然環境に原因するものと文化の違いに原因するものが区別された。3.2遺跡において根成孔隙の調査を行ない、いずれにもその存在を認めることができた。4.奄美大島における2遺跡の自然環境を、地理学と堆積学から調査した。遺跡の形成をサンゴ礁の形成過程ならびに砂丘の形成過程と関連させて説明することができた。5.奄美大島と沖縄本島の5〜8世紀における土器編年をまとめた。6.7〜8世紀、ヤコウガイが大量に意図的に集められていることを、奄美大島における3遺跡について、具体的に検証することができた。ヤコウガイを交易していたとする考えの可能性が高まった。7.堆積学調査と考古学の調査を組みあわせることで、これまで無遺物層としてよく把握できなかった白砂層にも文化層の存在することを論理的に説明できるようになった。
すべて 2006 2005
すべて 雑誌論文 (12件)
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