研究課題/領域番号 |
14201044
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 国立歴史民俗博物館 |
研究代表者 |
小野 正敏 国立歴史民俗博物館, 考古研究部, 助教授 (00185646)
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研究分担者 |
中島 圭一 慶應義塾大学, 文学部, 助教授 (50251476)
佐伯 弘次 九州大学, 文学部, 助教授 (70167419)
菊池 誠一 昭和女子大学, 国際文化研究所, 助教授 (40327953)
上野 祥史 国立歴史民俗博物館, 考古研究部, 助手 (90332121)
村木 二郎 国立歴史民俗博物館, 考古研究部, 助手 (50321542)
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キーワード | 考古学 / 交流史 / 東アジア / 中世 / 陶磁器 / 産地分析 / 国際研究者交流 / 中国:韓国:ベトナム |
研究概要 |
東アジア海域を共有舞台として交易・交流が急速に発展・整備された12〜16世紀について、「唐物」「南蛮物」をキーワードに、中世交流史を明らかにするため、1)具体的なモノ資料の分析、2)交流の場の景観や機能、担った人や組織の分析・調査を実施した。 14年度は、1については、海外を含む各地発掘資料を現地調査し、ステータスシンボルとしての威信財を抽出・文献史料・絵画資料と比較した。その結果、招来された唐物はバリエーションが少なく類型的に選択されており、強い規範の存在が確認された。また唐物の範疇に、予想以上に高麗青磁などの朝鮮半島製品が併存し、大蔵経のような特殊品を除くと狭義の日本側受容者の意識には高麗物が未分離なことが特徴的である。一方、中国・朝鮮・日本間の周縁地域、特に14年度調査の琉球、対馬の出土資料では、対馬は朝鮮と中国製品が主体で前者が突出し、琉球は中国を主に華南から東南アジア製品が多く朝鮮製品はほとんどない。さらに壱岐では東南アジァ製品が他に比べて多いなどの個性が指摘できる。このような流通を担った地域が持つ棲み分けは、国際港湾博多と豊後府内の比較でも、前者の中国主体に対し、後者は華南・東南アジア=南蛮物主体で、交易戦略の差別化が明瞭となる。また中国銭問題では対馬や博多では大銭が流通するが、国内の消費地段階では大銭はなく、削って普通の銭として利用される。ここにみられた流通段階と受容段階の実態や意識、価値観の比較解明が次の課題である。 2の交流の場の景観・機能の復元については、那覇湊と首里の現地調査の結果、埋立と市街化にも関わらず、近世初頭の絵画資料や冊封使史料等に示されるランドマークが特定され復元できた。15年度は、東アジア交易の拠点となった韓国・全羅南道、中国・浙江省、福建省の各港湾景観と機能の復元調査を進め、比較していく計画である。
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