研究課題/領域番号 |
14202001
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
棚瀬 孝雄 京都大学, 大学院・法学研究科, 教授 (80022424)
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研究分担者 |
和田 仁孝 九州大学, 大学院・法学研究院, 教授 (80183127)
松岡 久和 京都大学, 大学院・法学研究科, 教授 (30165782)
寺田 浩明 京都大学, 大学院・法学研究科, 教授 (60114568)
玉田 芳史 京都大学, 大学院・アジア・アフリカ地域研究研究科, 助教授 (90197567)
季 衛東 神戸大学, 大学院・法学研究科, 教授 (70224889)
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キーワード | 中国法 / グローバル化 / 法意識 / 企業法務 / タイ / アジア法 |
研究概要 |
15年度は4月から7月にかけて、各共同研究者がテーマを決め、先行研究の成果や理論的な問題点を整理し研究報告を行った。それによって、本研究全体の見通しが得られるとともに、各研究分担者の役割も明確になった。とくに、一口に東アジアの法といっても、中国、台湾、韓国の法がそれぞれが異なった個性を持ったものであることが確認できたとともに、この法が単純に文化的に規定されたものでも、また逆に、グローバル化の中で没個性的な普遍法となるわけでもないことが明らかになった。とくに、中国法に関しては、法の継受が中国に固有の政治状況の中で正統性の問題と絡んで出てきていることや、都市と農村、国営企業の扱いなど経済問題と絡んで複雑な屈折を示すことも分かってきた。さらに、法文化も、司法制度が未整備な状況の中での関係的資源を利用した取引秩序の構築として見ると、経済合理的に説明できることも示された。こうした成果を踏まえて、秋には、ジュリスト1258号に「中国法秩序と21世紀グローバル社会」と題する小特集を組んでもらい、研究代表者を含め、分担者5名が論文を執筆した。 また、8月末から9月にかけて、国内の大手企業の法務部を手分けしてまわり、とくにアジア関係の法務の現状と問題について聞き取り調査を行った。さらにその上で、11月には、タイに4名が企業法務の調査に出かけ、商工会議所や日系企業から、日本とタイの取引上の法的問題を中心に話を聞いた。その成果は報告書の形で現在とりまとめ中である。さらに年度末にずれ込んだが、日本で本格的な法意識調査を行った。日本人の法意識も今急速に変わりつつあると言われているが、その実態は必ずしも明らかではなく、学問的にも実践的にも意義のある調査であると考えている。データの分析をできるだけ早く終えて、16年度には、中国、タイでも同種の調査を実施して比較をしたい。
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