研究課題/領域番号 |
14203008
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
堀江 康熙 九州大学, 大学院・経済学研究院, 教授 (80209288)
|
研究分担者 |
川向 肇 兵庫県立大学, 大学院・応用情報科学研究科, 助教授 (30234123)
|
キーワード | 取引銀行数 / 関係型取引 / 設立後の年数 / シンジケート・ローン / 地元シェア / 営業店舗網 / 金融機関再編 / 支店間距離 |
研究概要 |
リレーションシップバンキングを基本とする地域金融機関の収益源泉は貸出取引であり、企業の取引する銀行数が増大することにも、貸出による利益拡大が背景となっている。企業の取引銀行数を決定する要因は、(1)売上高の規模(その増加は行数増加要因)、(2)業歴(長い先は取引行数が多い)、(3)自己資本比率(高い場合に行数が増加)、(4)収益力(修正評点:高い場合は「囲い込み」へのインセンティヴを表す)、(5)銀行間の競争(都銀との取引がある場合は増加)である。これらの変数を用いた回帰分析では、概ね想定通りの結果が得られる。即ち、優良な企業については、都銀を中心に「囲い込み」的な行動が窺われる。逆に、地銀や信金がメイン且つ2位以下に都銀が貸出をしている先には優良企業が多く、それだけに取引行数が増加し易い傾向=都銀による貸出攻勢もみられる。使用するデータが東京都内に限定されていることもあり断言することは難しいが、そうした攻勢は第二地銀について強く生じているように推察される。また、下位であっても優良な企業との貸出取引は利益面でプラスの効果を持ち、これが都銀と融資取引のあるような業況の良い企業に於いて、取引銀行数が増加する傾向の背景であることを示した。 他方、コスト節減を求めた営業店舗網見直しの動きも急である。金融機関の再編が多発した関西圏では、大きな再編となった都銀が、都心および郊外部で冗長な支店を大幅に削減している反面、地域銀行(とりわけ第二地銀)・信金では、相当の再編がみられたにも拘わらず、店舗自体の削減がそれほど大きくないことが示された。もっとも、信組では支店数削減が極めて大きく、支店数が大きく減少した結果、支店間距離が相当拡大しており、業態間で支店再編の状況がかなり異なることを明らかにしている。
|