研究課題/領域番号 |
14204001
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
金銅 誠之 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 教授 (50186847)
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研究分担者 |
藤野 修 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 助教授 (60324711)
土屋 昭博 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 教授 (90022673)
梅村 浩 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 教授 (40022678)
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キーワード | 三次曲面 / モジュライ空間 / 一意化 / K3曲面 |
研究概要 |
今年度の一番の成果は、K3曲面の周期理論を用いて3次曲面のモジュライ空間の超球による一意化を完成させたことである。この研究はBert van Geemen(ミラノ大学)、Igor Dolgachev(ミシガン大学)との共同研究である。3次曲面のホッジ構造は自明なため、周期理論を構成するには工夫が必要であった。Allcock, Carlson, Toledoの3氏は、3次曲面で分岐する3次元射影空間の3次被覆の中間次元ヤコビアンを使って、3次曲面のモジュライの超球による一意化を与えた。本研究では、3次曲面から自然にK3曲面を構成することで、同様の結果を得え、Allcock達の結果、Terasoma-Matsumoto、Deligne-Mostowなどの関連する結果との関係も明らかにした。本研究の結果は境界の様子まで具体的に解析できる利点があることを注意しておく。3次曲面はDel Pezzo曲面の1種であるが、4次のDel Pezzo曲面の場合にもK3曲面の周期を用いた一意化に成功し、現在はIV型保型形式理論(Borcherds理論)を用いた4次Del Pezzo曲面のモジュライの研究を行っている。 第2の成果は、エンリケス曲面のモジュライ理論とGriessが構成、研究しているある頂点作用素代数との類似を見いだした点である。現在、頂点作用素代数の幾何学的構成へ向けて準備を進めている。背後には頂点作用素代数の理論、それに付随した一般Kac-Moody代数と保型形式論およびモジュライとの深い関係があるものと予想している。
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