研究課題
基盤研究(A)
$K3$曲面の周期理論を用いて、Del Pezzo曲面のモジュライ空間が複素超球の算術商として記述できる事を示したことが大きな成果として挙げられる。同様の方法で、射影直線の8点のモジュライ空間が複素超球の算術商として記述できる事およびDeligne-Mostowの研究との関連を明らかにした。一方、エンリケス曲面のモジュライ空間はIV型有界対称領域の算術商として記述される事が知られている。BorcherdsによるIV型有界対称領域上の保型形式論を用いて、このモジュライ空間の射影モデルを与えた。さらに射影直線の8点のモジュライ空間は複素超球の算術商として表せるが、この複素超球は構成方法より自然にIV型有界対称領域に埋め込まれている。この場合に、IV型有界対称領域上の保型形式を複素超球に制限する事で、8点のモジュライ空間の射影モデルを与え、これが古典的に知られた8点のCross ratioを用いた射影モデルと一致することを示した。IV型有界対称領域上の保型形式を用いた代数幾何学の研究はあまり際立った成果は得られておらず、今後、この方法で様々な例を構成しこの方面の研究に寄与できればと考える。正標数の$K3$曲面にシンプレクティックに作用する有限群の分類は研究が始まったばかりであり、正標数特有の不思議な現象の解明はこれからである。本研究では、標数2のアルチン不変量が1の最も特異な$K3$曲面の研究を行った。さらに複素数体上の分類結果には現れない$K3$曲面にシンプレクティックに作用する新たな有限群の例をいくつか構成し、分類へ向けての足がかりを得た。
すべて 2005 その他
すべて 雑誌論文 (12件)
J. reine angew. Math. 588
ページ: 99-148
Duke Math. J. 128
ページ: 393-471
Publ. Res. Inst. Math. Sci. 42
ページ: 281-294
Proc. Japan Acad. Ser. A Math. Sci. 81
ページ: 174-179
Manuscripta Math. 118
ページ: 201-225
J.reine angew.Math. 588
Duke Math.J. 128
Publ.Res.Inst.Math.Sci. 42
Proc.Japan Acad.Ser.A Math.Sci 81 no.10
International Math.Research Notices
International Mathematics Research Notices. (to appear)