研究分担者 |
中島 啓 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (00201666)
小林 亮一 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 教授 (20162034)
満渕 俊樹 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80116102)
辻 元 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (30172000)
伊藤 光弘 筑波大学, 数学系, 教授 (40015912)
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研究概要 |
2n次元コンパクトシンプレクティック多様体においてシンプレクティック形式が整コホモロジー類を代表するとする.トーラスのハミルトン作用に対し,ハミルトン関数の積分がある位相不変量になるように正規化すると,モーメント写像の像は整数点を頂点とする凸多面体となることを証明した.更にハミルトン関数の積分が0となるように正規化するとモーメント写像の像は頂点が有理点であるような凸多面体であることを証明した.この結果はコンパクトケーラー多様体の場合にアティヤにより予想されていたが,もっと一般にコンパクトシンプレクティック多様体に対しても成立することを示したものである.また自然に定まるリー環上の多重線形形式は生成元の上で有理数を取ることが示された.このことから端的ケーラーベクトル場の周期性が示される.この結果はケーラー多様体の場合には以前の研究で得られていたが,本研究により不定値ケーラー多様体にも一般化されることがわかった. ケーラー多様体に双正則自己同型のなす群が作用するとき,この群はケーラー形式全体のなす空間に自然に作用する.ケーラー多様体がコンパクトのとき,ケーラー計量全体のなす空間上に自然な1次元の不変コホモロジー群の元および同変コホモロジー群の元が定まることがわかった.このような元はマルチプライアー・エルミート構造におけるケーラー・アインシュタイン計量の存在問題,高次チャーン類が調和形式となるケーラー形式が存在するかという問題と関連し,これらの問題が肯定的に解けるための障害類となる.より具体的にはドラームおよびアレクサンダー・スパニエの意味での不変コホモロジーと,同変コホモロジーのヴェーユモデルの元として記述される.
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