研究分担者 |
会田 茂樹 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 教授 (90222455)
日野 正訓 京都大学, 大学院・情報学研究科, 助教授 (40303888)
熊谷 隆 京都大学, 数理解析研究所, 助教授 (90234509)
盛田 健彦 広島大学, 大学院・理学研究科, 教授 (00192782)
小倉 幸雄 佐賀大学, 理工学部, 教授 (00037847)
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研究概要 |
代表者の研究は,無限次元を中心に拡散過程の研究を進めた.一つはWiener空間の部分空間におけるHodge-Kodaira型の作用素のスペクトルの跳びについて調べた.境界があるために境界条件を設定する必要があるが,よく知られている絶対境界条件と相対境界条件の2種類について考察した.ともに境界が凸である状況を考えたが,これらは境界の第二基本形式の正値性によって記述できる.Malliavin解析の枠組みで部分積分の公式の境界からの寄与を記述することが基本的である.もう一つは対数Sobolev不等式を一般化し,分数冪対数Sobolev不等式を考察した.最近WangはL^2の枠組みにおいて分数冪対数Sobolev不等式と,強いPoincare不等式,さらにBockner型の不等式との同値性を証明したが,これをL^Pの場合にまで一般的に拡張を行った.またエントロピーの概念をOrlicz空間の枠組みで定式化し,その一般化を与えることもできた.これは従来から用いられていたOrliczノルムをYoung関数を一般化することによりエントロピーと関連づけたものである.そのほかにもWiener空間上でL+V(LはOrnstein-Uhlenbeck作用素)の形のSchrodinger作用素を考察した.本質的自己共役性,定義域の特徴付け,スペクトルの跳びなどのための十分条件を与えた.ここで特に重要な働きをするのが対数Sobolev不等式で,従来知られていた2次形式による表現を生成作用素による直接的な不等式の形に書き直して簡潔な証明を与えた. またこの科研費により,確率論全体のシンポジウムを5つ開催した.特に,今年度はHsu, Ferrari両教授を招聘してサマースクールを開催,多くの学生の参加を得て活発な研究交流を行うことができた.
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