研究課題/領域番号 |
14204011
|
研究種目 |
基盤研究(A)
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
儀我 美一 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70144110)
|
研究分担者 |
小林 亮 北海道大学, 電子科学研究所, 助教授 (60153657)
古川 義純 北海道大学, 低温科学研究所, 助教授 (20113623)
利根川 吉廣 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (80296748)
津田谷 公利 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (60250411)
中路 貴彦 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (30002174)
|
キーワード | 強拡散 / 不連続解 / エントロピー解 / 粘性解 / 適正粘性解 / 大域可解性 |
研究概要 |
拡散効果に異方性のある問題、特に拡散効果が非常に強く、その効果が非局所的になってしまう偏微分方程式を中心に、数学解析上のさまざまな成果を得た。 流体力学で有名な粘性のない保存則例えばバーガース方程式については、初期値がどんなに滑らかでも有限時間で、解が不連続になることが知られている。一方、解のグラフを曲線とおもい、保存則を曲線の運動方程式とみなすと、有限時間で、曲線は1価関数のグラフとみなせなくなってしまう。この現象が不連続性に対応している。スカラー関数の保存則について、対応する曲線の運動方程式に対して垂直方向の強拡散項をつけると、不連続性をもつエントロピー解のグラフの運動を記述することを予想し、いくつかの具体的な状況の下で、厳密に証明した。しかも、この考え方は、不連続解のグラフの動きを追跡する上でも有効で、実際に有効な数値計算法を確立した。 さらに、この方法は、必ずしも保存則だけではなくより一般の1階非線形偏微分方程式についても有効であることも示した。 保存則でない場合、不連続性をもつ解の概念としてエントロピー解に対応するものがなく、不連続解の定義自体も問題であった。従来の粘性解理論は、このような場合には弱すぎ、解の一意性がいえなかった。それに対して、不連続面(ショック)の速度に制限をつける方法で、適正粘性解の概念を導入し、運動が時間に対して単調の場合、その初期値問題の大域可解性を証明した。この結果は、この方面では基本的なものであり、今後の進展が期待される。 その他、結晶成長に関連する偏微分方程式について、その可解性を中心に成果を得た。
|