研究課題/領域番号 |
14204014
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
牧島 一夫 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (20126163)
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研究分担者 |
国分 紀秀 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (50334248)
久保田 あや 独立行政法人理化学研究所, 牧島宇宙放射線研究室, 基礎科学 特別研究員
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キーワード | ブラックホール / 宇宙X線 / 降着円盤 / 科学衛星 / 大気圏外観測 / 近傍銀河 / コンプトン散乱 / 超光度X線天体 |
研究概要 |
本研究の目的は、近傍の渦巻銀河に見られる超光度X線天体(ULX ; Ultra-Luminous X-ray Source)が、太陽の数十倍から数百倍の質量をもつ中質量ブラックホールであるという、我々の独創的な仮説を観測から検証することにある。本年度は3年間にわたる研究の締めくくりとして、以下のような成果を導き、当初の研究目的を達成することができた。 1.昨年度に引き続き、チャンドラおよびXMMニュートン衛星の公開データを用い、近傍銀河の中にある明るいX線天体の研究を推進した。その結果、ULXの一部は通常の恒星質量ブラックホールと考えられることを突き止めた。 2.ULXは中質量ブラックホールではなく、強く放射がビーミングした天体であるとする、対立する学説の当否を検証するため、質量降着率の高い中性子星や、ジェット天体SS433を観測的に研究し、強いビーミングは考えにくいという確証を得た。 3.昨年度に引き続き、ブラックホール、ULX、および狭線セイファート銀河を、降着率の高いブラックホールという立場で統一的に解釈する描像を推し進めた。 4.昨年度ハワイの「すばる」望遠鏡を用い、代表的なULXであるM81銀河X-6天体の光学対応天体を探査した。今年度はデータ解析を進めた結果、有力な候補天体を同定することができ、しかもそれが可視光で変光している可能性を得た。 5.国内の学会(物理学会、天文学会)、国内の一般向け講演会、アメリカ天文学会の年会などで講演を行い、こうした研究成果の公表に努めた。
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