研究課題/領域番号 |
14204017
|
研究機関 | 独立行政法人宇宙航空研究開発機構 |
研究代表者 |
満田 和久 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究本部・高エネルギー天文学研究系, 教授 (80183961)
|
研究分担者 |
藤本 龍一 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究本部・高エネルギー天文学研究系, 助手 (20280555)
廣瀬 和之 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究本部・宇宙探査工学研究系, 助教授 (00280553)
|
キーワード | 放射線検出器 / X線分光器 / カロリメータ / ボロメータ / 超伝導遷移センサー(TES) / 超伝導量子干渉素子(SQUID) / マイクロマシーニング / チタン-金薄膜 |
研究概要 |
本研究の目的は、1000画素程度の本格的な撮像能力と半値幅4eVの高いエネルギー分解能を備えたX線マイクロカロリメータアレイを実現するために必要な2つの基礎技術、すなわち、大規模アレイ製作のための安定な製作プロセスと多数画素からの信号を読み出すための低雑音信号処理技術、の開発研究である。本年度は、当初の年次計画に沿って、以下の研究を行った。 1.TESマイクロカロリメータアレイの研究 1.1開口効率の高い画素構造を持つカロリメータアレイ 宇宙観測用のカロリメータアレイでは、隣接する画素との間の不感領域をできるだけ小さくする必要がある。このために、いわゆる"マッシュルーム"型X線吸収体を備えたカロリメータが必要となる。これまで、この形状のカロリメータでは100eV程度の分解能に留まっていたが、今年度、吸収体として使用する物質に変更を加えることで12eVまで分解能を改善することに成功した。 1.1オランダSRONグループとの素子の共同製作 素子製作のプロセスの一部を他の研究グループが行うことにより、素子製作プロセスの違いによる素子の性能、特に超過雑音とよばれる原因不明の雑音の振る舞いを調べる目的で、オランダSRONとの素子の共同製作をすすめている。今年度は素子製作と、基本的な特性の測定まで完了した。 2.カロリメータ信号の超低温多重化に関する研究 多数の画素からの信号を、超低温(^-1K)において、マイクロカロリメータを交流でバイアスすることによって少数の信号チャンネルに多重化する研究を進めている。これまでに2つの画素からの信号の多重化に成功している。本年度は、交流でバイアスに対するマイクロカロリメータの応答を実験により詳細に調べた。その結果、超伝導薄膜の電流特性に起因する予想外の動作が明らかになった。これを踏まえた信号処理の方法を検討し、実証実験を行った。
|