研究課題
基盤研究(A)
この研究の目的は、日本及び米国が推進していた室温加速管技術を用いたリニアコライダーのビーム形状測定のためのシリコン検出器を開発実証することである。まず、ビーム形状測定の原理をシミュレーションによって実証した。センサー開発では、ハワイ大学のシャーウッド・パーカーとの共同研究により3Dピクセルセンサーを開発製作し、その基本的動作を確認した。読み出し集積回路はローム社にVDECを通して試作発注し、時間分解能30nsが達成され、放射能耐性も東北大学工学部のCo60線源を使って2Mradまで耐えうる事が確認された。次のステップは実際にバンプボンド可能なチップの製作であったが、2004年8月に、ITRP(International Technology Recommendation Panel)によって、国際リニアコライダーは室温技術ではなく、超伝導技術を使って進められる事が決定された。超伝導リニアコライダーでは、ビーム1トレインあたりの反応量は室温リニアコライダーのそれの約20倍であり、ピクセルあたりの占有率が100%近くになるため当初の設計は使えないため,読み出し回路の設計変更を行った。1トレインの1msを20の時間帯に分けて、ピクセルのヒット数をピクセル内のレジスターに保存し、一つのトレインが通り過ぎてからそれらを読みだす方式を採用した。2005年に設計は完成し、2005年暮れにはVDECに試作を依頼し、2006年2月に読み出しチップの試作品が東北大学に届けられた。設計変更後の経過報告は、2005年8月米国コロラド州スノーマスに於けるリニアコライダー国際会議に於いて発表した。同時に設計製作を進めていた試験回路を使って基本動作の確認を行った結果、入力部のポリシリコン抵抗に異常が見つかり、X線解析、電子ビーム試験、そしてFocused Ion Beamによる試験及び修復作業の結果、数カ所の入力部のポリシリコン抵抗は修復され、機能の一部が確認された。その後のVDECなど関連会社との議論の結果、問題は設計ルールの確認ソフトのバグである事が判明した。そして必要な変更を加えた設計のチップ製作をVDECに提出した。その回路の設計製作は論文'Pixelated readout circuit for pair monitor at international linear collider'に記述されている。平行して大きな(14-20mrad程度)衝突角度のときのビーム形状測定原理の研究をシミュレーションを使って行い、実際の衝突角でビーム形状測定が可能である事を示し論文として発表した。
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Nuclear Instruments and Methods for Physics Reearch A608
ページ: 367-371
Nuclear Instruments and Methods for Physics Research A608
IEEE Transactions on Nuclear Science(accepted)
IEEE Transaction on Nuclear Science (to be published)