超新星残骸(SNR)は唯一、銀河内宇宙線起源の候補天体として長らく信じられながらその証拠はほとんど発見されていない。当然、衝撃波理論の観測的証明もほとんど無いのが現実である。しかしASCAによるSN1006からのシンクロトロンX線および我々CANGAROOグループによるTeVガンマ線放射の発見でその糸口が見え、続いて同様なSNR、RXJ1713からもTeVガンマ線放射を発見した。それを発展させるため、この2つのSNR同様、X線シンクロトロン放射が観測されたSNR、RCW86を2001、2002年に観測を行なった。解析がほぼ終了し、2年それぞれから硬X線が最も強い場所でTEVガンマ線の放射が各年とも4σ程度で観測された。まだ確定はしていないが非常に有力な天体であり、現在さらなる解析を進めている。さらにガンマ線パルサーPSR1706からの600GeV〜5TeVでの微分フラックスの解析を進め、スペクトルが1TeV付近で逆コンプトン散乱からのガンマ線の特徴であるスペクトルの冪の急な変化が観測された。またX線データの解析も行ない、多波長スペクトルを得て、TEVガンマ線加速を考慮すると、パルサーまわりのネブラでの加速と言う従来のモデルでは全く説明出来ないことを示した。 装置では1号機10m望遠鏡のカメラの取り付け治具をカメラに負荷がかからない新しいものと取り替え、PMT基板の破損がおこらないように改善した。また将来のための新しいAMPの試験、1GHzの高齢FADCを用いたシステムの基礎開発を開始した。
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