研究課題/領域番号 |
14204027
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
大師堂 経明 早稲田大学, 教育学部, 教授 (10112989)
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研究分担者 |
小松 進一 早稲田大学, 理工学部, 教授 (00087446)
前田 恵一 早稲田大学, 理工学部, 教授 (70199610)
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キーワード | クェーサー / Bl Lac型天体 / パルサー / ガンマ線天体 / トランジェント電波源 / 球面鏡 / 空間時間FFT / 電波干渉計 |
研究概要 |
「高エネルギー天体現象の電波観測(基盤研究A H14-)」は、早稲田大学64素子電波干渉計と那須パルサー観測所に建設中の球面鏡アレイを用いてクェーサーやBL Lac型天体などの活動銀河核、パルサー、トランジェント電波源などの物理的性質を電波観測から解明しようとするものである。那須では、20m鏡8台が完成しており、天頂から5度の方向を見る球面鏡を開発して、高感度の観測をはじめている。本研究は、この成果をさらに拡大すべく天頂から18度以内の天体を追尾できる30mの球面鏡を開発し、半数以上が未同定であるEGRETガンマ線天体の電波同定をまずめざす。EGRETガンマ線天体は、数個が銀河面近くのガンマ線・電波パルサーに、また高銀緯天体のいくつかはBL Lac型天体などの活動銀河核に同定されたが、多くはその正体が分かっていない。その理由は、ガンマ線天体の位置精度が2度程度と悪く、その中にある無数の天体のどれであるかが決定出来ないからである。本研究で開発中の30m球面鏡は、専用機であり、長時間にわたって広い空をモニターできる。すでに20m球面鏡で、CygX-3の電波バーストをとらえているが、このような突発的に輝く天体が続々検出されるであろう。そして、そのようなトランジェント天体がEGRETガンマ線天体である確立が極めて高いのである。初年度は、30m球面鏡の建設と、64素子干渉計の信号処理を行っている空間時間FFTプロセッサーを用いた観測が中心である。30m鏡は、基盤研究Aで極めて安く建設費したにもかかわらず、目的をしぼって高い性能を達成している。例えば当面の観測周波数1.4GHzはもちろん、10GHzでも使用可能であろう。天体を追尾する駆動系や副鏡の製作は次年度の計画となり、観測もそれにともなうことになるが、本研究はすでに世界から注目されている。早稲田大学は小型のアンテナを密に並べて高感度を達成する干渉計を開発してきたが、これは世界にひろまったケンブリッジ大学の干渉計とは全く原理が異なる。1990年代に入ると早稲田方式の有効性が認識され,SKAと呼ばれる1平方kmを超える集光面積をもつ干渉計の構想が現在国際協力で議論されるようになった。これを実現出来る最も具体的なシステムが、早稲田64素子干渉計であり、那須の球面鏡アレイなのである。2003年7月のIAU国際天文連合シドニー総会で、本研究で開発した30m球面鏡などの報告を行う。
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