研究課題
パルスレーザーデポジション成膜装置を用いて、次に示すペロブスカイト複合酸化物薄膜の作成を行い。またその構造と物性を評価した。(1)前年度に引き続きモルフォトロピック相境界組成をもつリラクサーPb(Sc1/2Nb1/2)O3(PSN)と強誘電体PbTiO3(PT)との混晶系PSN/43%PTのセラミックスおよび薄膜を作成した。バルク結晶の相図を詳細に決定した。とくにMPBの構造は、Tiの組成比に依存して、非常に複雑な様相-ある場合にはナノスケールのchemically disordered状態-を示すことを見出した。薄膜の場合には、MPBでは単斜晶Pmとなること、しかし基板と薄膜の厚さに依存して、複雑な分域が観測された。また高温では非極性正方晶となることを見出し、バルク結晶とは異なり、950Kまで立方晶にはならなかった。(2)量子常誘電体SrTiO3のエピタキシャル薄膜を厚さを変えて作成した。この結果、室温ではバルク結晶と殆ど変わらない誘電率は、低温とともに増加したが、10K付近でゆるやかな極大をとったあと減少した、厚さを増すと誘電率の大きさは増加し、ピーク温度は高温側にシフトした。またいずれの場合も著しい周波数分散が観測された。現在、Ginzburg-Landau理論で解析を行っている。(3)巨大緩和誘電特性を示すCaCu3Ti4O12(CCTO)の多層膜(3層膜、5層膜)の作成を行った。その結果、誘電率はCCTO薄膜並みで損失の小さな薄膜を作成することに成功した。(4)電荷整列ペロブスカイト型マンガン酸化物薄膜Pr0.7Ca0.3MnO3の薄膜をエピタキシャルに成長させ、それにパルス電場をかけると、光学反射率が同様に不揮発かつ可逆的に変化する現象を発見した。この現象は、新しいタイプの光スイッチ、光メモリーとなりうるものである。
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