研究課題/領域番号 |
14204036
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
固体物性Ⅱ(磁性・金属・低温)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
水崎 隆雄 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (20025448)
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研究分担者 |
石川 修 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (90184473)
佐々木 豊 京都大学, 低温物質科学研究センター, 助教授 (60205870)
松原 明 京都大学, 低温物質科学研究センター, 助教授 (00229519)
久保田 実 東京大学, 物性研究所, 助教授 (60192035)
高木 丈夫 福井大学, 工学部, 助教授 (00206723)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2004
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キーワード | 超流動ヘリウム-3 / 量子流体陸学 / 量子渦 / テクスチャー / アエロジェル / 渦のピン留機構 / 回転超低温冷凍機 / 核磁気共鳴 |
研究概要 |
東京大学物性研究所において完成した世界最高速度、毎秒1回転で回転するサブmK温度域の超低温冷凍機を用いて、1)回転下での0.1mmφと0.2mmφの直径を持つ円筒容器中の超流動^3HeのNMRを計測した。0.1mmφ試料では、回転、冷却条件、温度により3種類のテクスチャーを制御することに成功した。その内の一種類はMermin-Hoテクスチャー(M-H)である。M-Hの中心のソフトコアーに局在したスピン波のNMR共鳴周波数の回転依存性より、ソフトコアーに巨視的な角運動量が存在することが分った。この巨視的角運動量はCooper対の固有角運動量からから来る可能性を指摘した。0.2mmφの試料では二種類のテクスチャー(M-HとDisgyrationテクスチャー)が観測された。M-H状態において回転数を上げると、量子化された渦度n=2の渦が入り,渦の導入にと同時にM-Hがn=-1からn=+1に変換され、更に回転数を上げるとn=+1のM-Hにn=2の量子渦がはいることが観測された。渦の生成・消滅機構を調べた。M-HとDisgyration制御は常流動から超流動に冷却する時に、一種のEinstein-Barnett効果である回転と磁場の相対的な向きによって制御されることがわかったが、説明は出来ていない。2)回転下でのナノ構造多孔質物質であるアエロジェル中の超流動^3Heの渦を調べた。超流動A-相のNMRスペクトルから、量子渦がコヒーレンス長ξ_0のコアーを持つ量子渦である事を推定した。回転超流動B-相において量子化された渦がアエロジェル中に侵入し、一部ピン止めされ、回転を停止しても長期間安定に超流動永久流が保持されていることが分かった。この結果は、硬い超伝導体の磁場依存性の量子磁束のクリープ模型で説明される現象と類似のものである。量子渦のピン止め・増殖機構を解明した。3)双極子相関長ξ_Dの厚みを持つ平行平板中の超流動^3He-A相の新しい渦の探索を行った。磁場は平行平板に垂直に印可されており、平行平板中に超流動のオーダーパラメターのlとdはバルクの場合と異なり互いに垂直であることが特徴である。回転数を上げて行くと、フレデリック転移が起り、回転数をさらに上げて行くと量子渦の侵入が始まる。渦侵入の臨界速度が、バルクの場合と比べて1桁程度大きいことから、この渦は平行平板固有のコアーの大きさがξ_0程度の大きさを持つ位相渦ではないかと推定される。
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