研究課題
今年度は最終年度であるので、これまでの研究成果の発表と、データのとりまとめを中心に作業を行った。先ず、4月に北京で行われた、第1回CliC(Climatology and Cryosphere)の国際会議で、北極海上で見出された、エアロゾル-海洋-大気-雲の相互作用について発表した。これは、海水温の変化と、海起源の雲核の数濃度や大気境界層内の雲の発達とが良く対応していることを観測事実として示したもので、北極海上における下層雲の形成過程が、温暖化に伴う海水温変化に影響を受けることを示した画期的な成果である。次に、6月にカリフォルニアで開催された第5回GEWEX(Global Energy and Water Cycle)国際会議で、本研究期間で行った観測結果の総合報告を行った。特に、北緯75度以北の北極海上での多年にわたる降水雲の観測はこれまでにほとんど無く、今後同様な観測研究を計画している他国の研究者から高い評価を受けた。更に、11月には、神戸で開催された日本気象学会で、北極海で行ったミリ波レーダーとライダーとを用いた北極層雲の雲量と雲微物理量についての観測結果を紹介した。本発表では、熱帯・中緯度との観測結果との比較も行い、2012年にESA(Europe Space Agency)とJAXAとで共同で打ち上げ予定の雲観測衛星(Earth CARE)の科学的基礎データとしての重要性を強調した。また、8月には、最終年度研究成果報告会を開催し、1)みらい北極クルーズ観測、成果概要紹介、2)雲レーダ観測成果、3)FM-CWミリ波雲レーダによるMIRAIでの雲観測成果、4)雲レーダーとライダーとの同時観測から得られた成果、5)「みらい」を用いた広域海面フラックス観測成果、6)北極海の放射収支、7)大気水収支について、それぞれまとめの報告を行い、上記の各章に沿っての執筆を行っている。
すべて 2005
すべて 雑誌論文 (3件)
Proceedings 2^<nd> EarthCARE Workshop
ページ: 69-70
ページ: 87-92
ページ: 139-144