瀬戸内海横断統合的地震探査による中央構造線及びそれ以深の地殻構造解明

2002 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 14204048
• 研究機関: 千葉大学
• 研究代表者: 伊藤 谷生 千葉大学, 理学部, 教授 (50111448)
• 研究分担者: 津村 紀子 千葉大学, 理学部, 助手 (00272302) ; 宮内 崇裕 千葉大学, 理学部, 助教授 (99212241) ; 金川 久一 千葉大学, 理学部, 助教授 (40185898) ; 山北 聡 宮崎大学, 教育文化学部, 助教授 (80210342) ; 佐藤 比呂志 東京大学, 地震研究所, 助教授 (00183385)
• キーワード: 瀬戸内海 / 西南日本 / 中央構造線 / 地震探査 / 下部地殻

研究概要

本科学研究費に基づく瀬戸内海横断地震探査は、幸運なことに、海洋科学技術センター(JAMSTEC)と東大地震研究所が企画していた西南日本横断海陸統合地震探査(2002年8月末)と結合して実行することができた。このため、本科学研究費だけでは到底獲得できない貴重なデータが得られただけでなく、西南日本横断海陸統合地震探査にも大きく貢献することになった。本科学研究費にかかわる探査仕様、現在までの処理結果等は以下のとおりである。【仕様】測線=小豆島から岡山県牛窓まで(陸上29km、海上11km)。受振点間隔=50m(海上は一部25m)。受振器=ジオフォン(陸上)+ハイドロフォン(海上)。発震=ダイナマイト100kg(小豆島)。【観測結果】酉南日本横断海陸統合地震探査との完全な連携のもと8月29日、30日の未明に実行。低ノイズレベルで極めて良質なデータ取得に成功。【現在までの処理結果】single-foldによる処理を鋭意継続中であるが、これまでの以下の成果が確認されている。1)中央構造線はおよそ45°傾斜で地表(吉野川北岸)から北方地下に続き、小豆島下付近で下部地殻に到達する。2)北部四万十層群(白亜系)と南部四万十層群(古第三系)の境界断層(地表では徳島県南部で観察)もおよそ45°北傾斜で追跡され四国北部瀬戸内海沿岸付近で下部地殻に到達する。3)下部地殻はおよそ10°程度南傾斜し、四国北部でフィリッピン海プレート上面と接触する。【今後の展望】上記の結果は日本列島形成過程に関する新たな本質的データを提供している。平成15年度においては最終処理を行うとともに、西南日本横断海陸統合地震探査のデータとマージさせながら、西南日本の構造断面作成の作業を行う予定である。

研究成果

• [文献書誌] Ito, T.: "Active faulting, lower crustal delamination and ongoing Hidaka arc-arc collision, Hokkaido, Japan"Seismotectonics in Convergent Plate Boundary (Y.Fujinawa et al., eds.). 219-224 (2002)
• [文献書誌] Iwasaki, T., Yoshii, T., Ito, T., others: "Seismological features of island arc crust as inferred from recent seismic expeditions in Japan"Tectonophysics. 355. 53-66 (2002)
• [文献書誌] 伊藤谷生, 岩崎貴哉: "島弧衝突研究の新展開"地震研究所彙報. 77. 87-96 (2002)
• [文献書誌] 香束卓郎, 菊池伸輔, 伊藤谷生: "日高衝突帯前縁褶曲・衝上断層帯の地下構造:石油公団 日高測線(H9 1-2, 3)反射記録の再処理と再解釈"地震研究所彙報. 77. 97-109 (2002)
• [文献書誌] Kanagawa, K: "Frictional behavior of synthetic gouge-bearing faults under the operation of pressure solution"Earth, Planets and Space. 54. 1147-1152 (2002)
• [文献書誌] Tsurumi, J., Hosonuma, H., Kanagawa, K.: "Strain localization due to a positive feedback of deformation and myrmekite-forming reaction in granite and aplite mylonites along the Hatagawa Shear Zone of NE Japan"Journal of Structural Geology. 25. 557-584 (2003)