研究課題/領域番号 |
14204061
|
研究種目 |
基盤研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
物理化学
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
山口 兆 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80029537)
|
研究分担者 |
川上 貴資 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助手 (30321748)
北河 康隆 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助手 (60362612)
|
研究期間 (年度) |
2002 – 2004
|
キーワード | 一般化スピン軌道(GSO) / 強相関電子系 / ノンコリニア磁性 / 分子磁性金属 / 有効交換積分(J_<ab>)値 / 高温超伝導 / 量子化学 / スピン揺らぎ |
研究概要 |
分子等が集積化・結晶化して生成した物質系での、電気的・磁気的・光学的性質は非常に興味深い。理論的にはこれらの分子化合物はいずれも強相関電子系を持つ点で共通しており、機能発現機構の解明にはその電子およびスピン相関の研究が急務となっている。特に、遷移金属を有限個含む単分子磁石の多くは、複雑な分子骨格に起因するスピンフラストレーションやスピン縮重により、ノンコリニア磁性を示す。しかし、この状態は従来の非制限HF(UHF)や非制限DFT(UDFT)では表現できず、一般化スピン軌道(GSO)を用いたHF(GHF)やDFT(GDFT)が必須となる。そこで、本研究では磁性群論構築・ソフトウエア開発・専用並列計算機システムの構築を通じてこれにアプローチした。 ノンコリニア磁性体の第一原理計算が可能となるGSOを用いた理論展開とそのプログラムの開発を行った。これらには、例えばab initio HF(GHF)、GSO-LDA(局所スピン密度近似)、GSO-GGA(一般化された密度勾配近似)、GSO-LSDA+SIC(selfinteraction-correction)、GSO-GW法が挙げられる。そしてこれらの手法により、(1)スピンフラストレーション系やスピン縮重系で2次元および3次元のスピン構造が最安定になり、(2)三重項酸素分子の酸素原子への解離が2次元スピン構造を介してスピン禁制遷移を記述できることを実証した。加えて、これらを種々のモデル系に適用した。 また、分子磁性体の第一原理計算からのアプローチとして最も重要なのは、物質の磁性を決める基本パラメータである有効交換積分(J)値や異方パラメータ(D)値を先見的に求める事にある。ノンコリニア磁性のJ値、D値を求める事は、今まで困難であったが、本研究ではその計算スキームの開発に成功した。
|