研究分担者 |
尾関 智二 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (60214136)
成毛 治朗 東京工業大学, 資源化学研究所, 助教授 (40237623)
石川 英里 東京工業大学, 資源化学研究所, 助手 (90323831)
澤田 圭樹 東京工業大学, 資源化学研究所, 助手 (10316490)
伊藤 建 東京工業大学, 資源化学研究所, 助手 (50376935)
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研究概要 |
本研究は巨大リング構造ポリ酸をナノテクノロジーの基盤材料として位置づけ,これらナノサイズの新規スーパーポリ酸の光化学的合成と構造制御を行うことを目的としている。そこで分子全体を構成するブロック分子とブロック間を接続するリンカー(ボルト)の開発、ブロックの集合化により合成されたナノ分子の物性を求め分子素子としてのデザインを行った。(1)ブロック分子として欠損構造のポリ酸[AsW_9O_<33>]^<9->、リンカーとして希土類金属イオン(Ln^<3+>)を用いてCrownエーテル状風車構造の[Cs⊂Ln_4(H_2O)_8(AsW_9O_<33>)_4]^<23->、水車構造の[K⊂Ln_6(H_2O)_<12>(AsW_9O_<33>)_6]^<35->を発見した。その他新規の誘導体の合成に成功する中、3.4nmの分子長の[{Eu(H_2O)_2}_2(AsW_9O_<33>)]_4(H_2O)_4(EuW_5O_<18>)_2]^<30->を見出した。(2)光自己集合反応によって発見した3.4nmの分子径の{Mo_<142>}、{Mo_<154>}などのタイヤ構造のスーパーポリ酸の誘導体としてLn^<3+>量をパラメーターとして{Mo_<154>}_∞のナノチューブおよび{Mo_<146>}_∞ナノチェーンを発見し、さらには一連の楕円構造の希土類ナノリングポリ酸{Mo_<150>Ln_2},{Mo_<120>Ln_6},{Mo_<130>Ln_<10>}を発見した。次いでリング内径内に有機カルボン酸や芳香族スルフィン酸が配位されることを見出した({Mo_<150>Ln(MeC_6H_4SO_2)_4}など)。光自己集合反応のメカニズムが時間分解ESR分光法との組み合わせにより{Mo_<142>(CH_3CO_2)_5(C_2H_5CO_2)}について明らかにされ、同時に有機分子のリングへの配位モードの詳細が判明した。(3)VO^<2+>がほぼ正三角形に配置した[(VO)_3(SbW_9O_<33>)_2]^<12->関連化合物に注目しVO^<2+>スピンの磁気化学を求めこれらポリ酸がDzyaloshinsky-Moriya相互作用由来の量子ヒステリシスを示すことを見出し、Mn^<2+>_3三角スピンやMn^<2+>_6プリズム、Cu^<2+>_6ヘキサゴンなどの新規ポリ酸分子磁石の発見へと繋がった。またEu^<3+>に注目してこれらのクラスターからなるポリ酸の発光特性も求められ、従来の8,9配位のEu^<3+>サイトに加え7配位のEu^<3+>サイトの発光特性が明らかにされた。平成16年11月21日-25日には本研究による"Nano-structures and Physicochemical Properties of Polyoxometalate Superclusters and Related Colloid Particles"の国際会議を研究代表者とM.T.Pope, A.Mullerがオーガナイザーとなって湘南国際村で成功裡に行った。その様子はAngew.Chem.Int.Ed.,2005,44,844-846にトピックスとして取り上げられた。
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