研究課題/領域番号 |
14204069
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
太田 俊明 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (80011675)
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研究分担者 |
近藤 寛 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (80302800)
雨宮 健太 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (80313196)
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キーワード | エネルギー分散型XAFS / 時間分解 / 分子吸着 / 表面反応 / XMCD / XPD |
研究概要 |
本課題は我々のグループが最近開発に成功した軟X線領域のエネルギー分散型表面XAFS法を確立し表面化学の研究への応用を図ると共に、エネルギー分散法を軟X線領域の関連する手法へ展開して表面現象の理解を深めることを目的としている。今年度は本課題の最終年度であり、これまで高度化してきたエネルギー分散型表面XAFS法を表面反応の研究に応用するとともに、本手法を繰り返し表面過程に適用して時間分解能を大幅に向上させ、表面の動的過程の研究への応用を行った。 表面反応の応用研究として、Rb(111)面上のN_2O生成反応の研究を行った。この反応では、負の活性化エネルギーを持つ温度領域が存在し、それがprecursor-mediated reactionメカニズムによることを反応キネティクス解析から見出した。さらにprecursorがNOダイマーであることを表面分光学的に直接捉えることに成功した。 また、繰り返し過程に適用することで時間分解能を上げ、表面に一時的に存在する化学種を捉える実験のために、大フラックスのパルス分子線源を開発した。このパルス分子線の表面到着をトリガーにして、表面に一時的に生成する吸着状態のXAFSを10msの時間分解能で測定した。その結果、約50msの寿命で表面に滞在する吸着precursorを捉えることができた。一時的に表面に滞在する長寿命の吸着precursorの存在は昔から指摘されてきたが、その実像はあまりよく分かっていない。今回、それを分光学的に捉えることができたことで、今後、このような過渡種の吸着構造に関する情報が得られる見通しが立った。
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