研究課題/領域番号 |
14204073
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
物質変換
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
成田 吉徳 九州大学, 先導物質化学研究所, 教授 (00108979)
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研究分担者 |
谷 文都 九州大学, 先導物質化学研究所, 助教授 (80281195)
島崎 優一 九州大学, 先導物質化学研究所, 助手 (80335992)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2004
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キーワード | チトクロムc酸化酵素 / 銅錯体 / 鉄ポルフィリン / 活性中心 / 化学モデル / 酸素分子活性化 / スーパーキソ錯体 / ペルオキソ錯体 |
研究概要 |
生体内ミトコンドリア中において酸素の4電子、4プロトンによる水への還元反応を行うチトクロムc酸化酵素(CcO)における酸素活性化機序の解明を中心に研究を進めて来た。 1.CcO酵素活性部位に存在する、全ての要素を含む化学モデル錯体の還元型錯体を用いて低温における酸素との反応を検討した結果、当初、銅-鉄イオン間にμ-η^2:η^1あるいはμ-1,2-型のペルオキソ錯体[Fe^<III>-O_2-Cu^<II>]が生成し、速やかに対応する鉄スーパーオキソ錯体[Fe^<III>-O_2・Cu^I]へと変換した。この反応は系中に存在する水が加速した。また、ペルオキソ錯体からスーパーオキソ錯体への変換例は新規であり、チロシン等価体から水一分子を経由して配位している酸素分子の末端酸素原子へ水素結合することによる安定化がこの反応の駆動力となっていると結論づけた。また、本モデルは酵素の混合原子価型[Cu_A^<II>Fe_a^<II>Fe_<a3>^<II>Cu_B^I]に相当するが、酵素の混合原子価型がO-O結合を開裂してFe^<IV>=O体を与えるのに対して、モデルでは銅は電子供与体として働かないこと点、今後の課題として残った。 2.CcO活性部位に存在するヒスチジン(His)と交差縮合したチロシン(Tyr)が酸素活性化反応中に電子供与体として働くか否かを検証するためにクレゾール結合イミダゾールを配位子の一部に含むトリス(イミダゾリルメチル)アミン銅(II)錯体を合成し、その紫外光照射によりフェノキシラジカルを発生させその紫外共鳴ラマン、ESR、過渡吸収等の測定を行った。その結果、配位子のみ、および比較対照とした亜鉛(II)錯体ではフェノキシラジカルが明瞭に観測されたが銅(II)錯体においては対応するラジカルはごく単寿命であることが明らかとなり、銅(II)錯体においてはフェノキシラジカルの生成効率が極端に低いか、あるいは銅イオンとの強い相互作用が有るかいずれかであると結論づけた。
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