研究分担者 |
西沢 精一 東北大学, 大学院・理学研究科, 講師 (40281969)
山口 央 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (10359531)
周 豪慎 産業技術研究所, 電力エネルギー部門, 主任研究員
ZHOU Hao-shen National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, Energy Electronic Institution, Senior Researcher
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研究概要 |
特異的分子認識能を発現する新たな分析反応場として,分子集合体の中に形成される疎水場空間や界面、また一次元配列した界面活性剤のナノチャンネルについて検討し、以下の成果を得た。 第一に,相補的DNA二重鎖において1個の塩基を除去した脱塩基部位における分子認識を検討し、水素結合性蛍光リガンドによる選択的核酸塩基認識に成功した。従来用いていたナフチリジン誘導体,AMNDにメチル基を導入して核酸塩基との結合能を検討したところ期待通りの成果を得ることができた。またギャップ構造など疎水場の構造効果についても検討した。 第二に,固液界面及び液液界面における分子認識反応の開拓を界面張力測定により進めた。チオ尿素基やチオウロニウム基を有するレセプター分子を新規合成し,1,2-DCE-水界面における錯生成能を評価した結果,塩化物イオンや臭化物イオンに比べ,脱水和エネルギーの大きなリン酸イオンに対する高い選択性が得られた。特に,チオ尿素基やチオウロニウム基の両者を有するレセプター分子では錯生成定数は,1.7x10^5M^<-1>と大きな値を得た。これはイオン選択性電極や溶媒抽出で見られる二相分配系の選択性とは異なる結果であり,界面特異的選択性の発現を達成できた。 第三に,陽極酸化アルミナ膜中の円柱状アルミナ細孔を反応場とした界面活性剤-シリカナノチャンネル集合体の配向制御を達成した。界面活性剤-シリカナノチャンネル集合体を包含した陽極酸化アルミナ膜に対する種々の化合物の抽出特性を検討した。陽イオン性分子に対してアニオン効果を検討した結果、イオン対抽出のメカニズムで陽イオン性分子がアルミナ膜中の界面活性剤層に取り込まれることが分かった。
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