研究課題/領域番号 |
14204076
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
高林 純示 京都大学, 生態学研究センター, 教授 (10197197)
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研究分担者 |
西岡 孝明 京都大学, 大学院・農学研究科, 教授 (80026559)
山村 則男 京都大学, 生態学研究センター, 教授 (70124815)
大串 隆之 京都大学, 生態学研究センター, 教授 (10203746)
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キーワード | ジャスモン酸 / ヤナギ / ハマキガ / アブラムシ / 植物間コミュニケーション / 最適戦略モデル / コスト / アワフキムシ |
研究概要 |
植物が植食者の食害を受けた際にどの様な匂い成分をどの様なタイミングで生産し始めるのかについて、リママメ-ナミハダニ系で詳細に検討した。これまで、植食者の被害によって誘導的な植物の匂い生産は、ジャスモン酸量の増加によって起きると考えられてきた。我々の実験では、食害が進み匂い放出量が最大値に達した場合でも、顕著なジャスモン酸量の増加は認められなかった。従って誘導的な匂い生産はジャスモン酸量の増加では説明ができないという新規の知見を得ている。 ヤナギ上における生物群集の解析を行った。「マエキアワフキ-ヤナギ」、「ハマキガ-ヤナギ」、「アブラムシ-ヤナギ」、「アブラムシ-アリ」、「ハムシ-ヤナギ」という5つの相互作用系が植物の形質の変化を介して連鎖的につながっていることがわかった。この連鎖に植物間コミュニケーションがどの様に関与しているかについて、2年度以降詳細に解析する。 植物間コミュニケーションのモデルの基礎となる植物の最適戦略モデルの構築を行った。その結果、情報を受け取る側の適応的意義については、化学防衛を準備する生理学的コストと実際に食害を受けたときに食害を軽減できる利益の関係から、食害が起こる確率がある程度高いときに、情報受容システムへの投資に最適値が存在することがわかった。情報を発信する側の適応的意義については、検討中である。また、どのような情報(食われたか否か、何に食われたかなど)を伝達するシステムが進化するのかを、コスト・利益の関係から解析中である。
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