研究課題/領域番号 |
14205002
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
大野 裕三 東北大学, 電気通信研究所, 助教授 (00282012)
|
研究分担者 |
大野 英男 東北大学, 電気通信研究所, 教授 (00152215)
松倉 文礼 東北大学, 電気通信研究所, 助手 (50261574)
大谷 啓太 東北大学, 電気通信研究所, 助手 (40333893)
|
キーワード | スピンコヒーレンス / 磁性半導体 / キャリアスピン / 核スピン / キャリア誘起強磁性 / スピン注入 / 核スピン共鳴 / 強磁性体 |
研究概要 |
本研究では、(1)磁性/非磁性半導体量子構造の設計と形成を行い、(2)磁性/非磁性半導体量子構造におけるキャリア、核、励起子、磁性イオンなどのスピンを電気的または光学的に制御し、それらの相互作用の制御及びその結果もたらされる光・電子・磁気スピン物性を調べ、スピンを情報担体とする"スピントロニクス"デバイスの基盤技術を確立することを目的とする。本年度得られた主たる成果は以下の通りである。 (1)量子ナノ構造におけるキャリアスピンダイナミクスの解明と制御 井戸幅が狭く量子化エネルギーの大きなInGaAs/AlGaAs(110)量子井戸構造を作製し、高温で支配的なD'yakonov-Perel'機構に起因するスピン緩和の異方性と、その電子スピンダイナミクスへの影響を調べた。面内と面直方向で非常に大きなスピン緩和時間の異方性(150Kで60倍)を確認するとともに、実験で観測された特異な電子スピンダイナミクスをスピン緩和の異方性を考慮したレート方程式を解くことにより再現した。 (2)非磁性半導体量子井戸構造におけるキャリアスピンと核スピンとの相互作用の解明と制御 ゲート電極を有するn-GaAs/AlGaAs(110)単一量子井戸構造において、ゲート電圧を印加して電子密度を制御することにより、超微細相互作用と動的核スピン分極を大きく変調できることを示した。また、その原因として電子密度の変化によって金属-絶縁体遷移が生じ、電子の波動関数の局在・非局在の変化により超微細相互作用の大きさが変調されているモデルを示した。 (3)磁性/非磁性半導体ヘテロ構造における電気的スピン注入 強磁性半導体(Ga,Mn)Asとn^+-GaAsトンネル接合からなるスピン注入素子について、注入される電流のスピン偏極率がn^+-GaAs層の厚さ・ドーピング濃度に強く依存することを系統的な実験により明らかにしその最適条件を示した。
|