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2003 年度 実績報告書

半導体をベースとした磁気光学結晶とその応用

研究課題

研究課題/領域番号 14205003
研究機関東京大学

研究代表者

田中 雅明  東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (30192636)

研究分担者 菅原 聡  東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (40282842)
キーワード磁気光学結晶 / MnAs / GaMnAs / 磁気光学効果 / InGaMnAs / 強磁性半導体 / キュリー温度 / クラスター
研究概要

光エレクトロニクスデバイスの主材料であるIII-V族化合物半導体をベースとした半導体磁気光学結晶を開発し、その光物性・磁気光学物性を制御することによって、未来の光情報通信システムに役立つ新機能デバイスを試作する。対象とする物質系は、(1)GaAs等の半導体中にMnAs等の強磁性金属ナノクラスターが埋め込まれたグラニュラー材料、(2)GaMnAsやInGaMnAs等の磁性混晶半導体とそのヘテロ構造、(3)強磁性金属(MnAs)/III-V半導体から成るヘテロ構造、でいずれも本研究者が研究開発中の新物質である。これらの物質系を用いて、従来の半導体では実現不可能であった、ファラデー効果やカー効果など光の非相反性がもたらす巨大な磁気光学効果をもつ「半導体をベースとした磁気光学結晶」を実現し、エピタキシャル成長とバンドエンジニアリング、光波エンジニアリングの手法を駆使することによってその物性機能を設計・制御することを目的とした。
本年度は前年度に引き続き、GaAs : MnAsナノクラスター構造の形成とその物性の最適化とともに、3元および4元混晶のIII-V磁性半導体とヘテロ構造の形成、半導体磁気光学結晶の作製技術の確立と最適化を行った。
・分子線エピタキシー成長により、GaAs : MnAsナノクラスター構造と半導体DBR多層膜と組み合わせた多層膜を設計し、特定の波長(980nm)で反射磁気光学効果(カー効果)が非常に大きくなることを理論的・実験的に確認した。III-V族半導体材料の中では室温で最も大きなカー効果(カー回転角1.5deg以上)を得た。
・GaAs : MnAsナノクラスター構造において、光照射により磁気光学効果(カー楕円率,MCD)の強さとスペクトル、および異常ホール効果が大きく変化することを見出し、その試料依存性や温度依存性などを調べ、機構を考察しつつある。
・4元混晶磁性半導体(InGaMn)AsをInP基板上にエピタキシャル成長させ、擬似的に格子整合させることにより、高品質の結晶性をもつ結晶薄膜が得られることを確認した。(InGaMn)As薄膜において、磁化、磁気輸送特性、磁気光学効果において、明瞭な強磁性を観測し、作製条件を最適化することにより強磁性転移温度が130Kに達することを示した。その伝導特性と磁気光学効果を明らかにしつつある。
・Mn-detla-doped GaAs/p-AlGaAsから成る選択ドーピングとデルタドーピングを用いた新しい磁性半導体ヘテロ構造を形成しキュリー温度172Kを観測(III-V族磁性半導体のキュリー温度としては最高値)を観測したが、8月以降、さらに高いキュリー温度192Kを観測した。電場や光による磁性制御を実験的に検討しつつある。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] G.Mahieu, P.Condette, B.Grandidier, J.P.Nys, G.Allan, D.Stievenard, Ph.Evert, H.Shimizu, M.Tanaka: "Compensation Mechanisms in Low-temperature Grown GaMnAs Investigated by Scanning Tunneling Microscopy"Applied Physics Letters. 82. 712-714 (2003)

  • [文献書誌] A.M.Nazmul, S.Sugahara, M.Tanaka: "Ferromagnetism and High Curie Temperature in Semiconductor Heterostructures with Mn-delta-doped GaAs and p-type Selective Doping"Physical Review. B67. 241308(R)-1-241308(R)-4 (2003)

  • [文献書誌] S.Ohya, H.Kobayashi, M.Tanaka: "Magnetic properties of heavily Mn-doped quaternary alloy magnetic semiconductor (InGaMn)As grown on InP"Applied Physics Letters. 83. 2175-2177 (2003)

  • [文献書誌] Ueda, H.Shimizu, M.Tanaka: "Magneto-Optical Kerr Effect of Semiconductor-based Multilayer Structures Containing a GaAs : MnAs Granular Thin Film"Japanese. Journal of Applied.Physics 42. 42. L914-L917 (2003)

  • [文献書誌] S.Ohya, H.Yamaguchi, M.Tanaka: "Properties of Quaternary Alloy Magnetic Semiconductor (InGaMn)As Grown on InP"Journal of Superconductivity ; Incorporating Novel Magnetism. 16. 139-142 (2003)

  • [文献書誌] T.Ogawa, Y.Shuto, K.Ueda, M.Tanaka: "Photo-induced anomalous Hall effect in GaAs : MnAs granular films"Physica. E21. 1041-1045 (2004)

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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