研究課題/領域番号 |
14205005
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
石橋 幸治 独立行政法人理化学研究所, 石橋極微デバイス工学研究室, 主任研究員 (30211048)
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研究分担者 |
塩川 高雄 独立行政法人理化学研究所, 石橋極微デバイス工学研究室, 先任研究員 (00183393)
松本 和彦 独立行政法人産業技術総合研究所, ナノテクノロジー研究部門, 総括研究員 (80344232)
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キーワード | 単層カーボンナノチューブ / 多層カーボンナノチューブ / 量子ドット / トンネル障壁 / バンドル / クーロン振動 / 離散化量子準位 / 過電流 |
研究概要 |
次世代ナノエレクトロニクスデバイス材料として大変有効であることは証明されたものの、物性機能のさらなる探索やデバイス化を考えたとき、最大の課題はナノチューブ独自のデバイスプロセスの確立である。そこで本研究では、基板にナノチューブをばらまいて電極をあとから形成するという最も初歩的なデバイスプロセスからはじめ、一定のデバイス機能を測定することには成功した。その過程で、デバイスプロセスの問題点として、次の2点を明らかにした。第1点は、単層ナノチューブの場合、ナノチューブがバンドルを形成すると、良好なデバイスプロセスが得られないことがあきらかになった。過電流を流すことによって、バンドルを形成したナノチューブを焼き切りナノチューブの数を少なくする手法を開発した。この技術を用いると、バンドルとはいえ、1個の単一量子ドットからのクーロン振動を引き出すことが可能であることを示した。バンドル化を回避するには直接ナノチューブを基板上に成長することが重要であるとの認識を持つにいたり、アルコールやメタンを用いた気相成長技術を確立した。第2点は、トンネル障壁の評価が全くされていないことである。そこで、半導体・金属ナノチューブに対して、トンネル障壁の高さを電気伝導の温度依存性を測定することにより明らかにした。トンネル障壁の高さはいずれの場合でも10meV程度であり、単電子デバイスではその動作温度は、帯電エネルギーではなくトンネル障壁高さで決まっていることを明らかにした。このことを解決する手段として、イオンビームを用いて多層カーボンナノチューブに人工的にトンネル障壁を形成することを試みた。また、多層カーボンナノチューブは拡散的な伝導をすると思われるが、トンネル障壁間を平均自由行程より小さくすることにより、多層カーボンナノチューブ量子ドットでは初めて離散化量子準位を観測することに成功した。
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