波長250nm-350nm帯の紫外高輝度発光ダイオード(LED)、半導体レーザ(LD)は、半導体白色光源、高密度光ディスク、殺菌等の医療、化学工業、公害物質の高速分解処理等、さまざまな分野での応用が大変期待されている。しかし、波長360nm以下の高輝度LIED・LDは、高輝度紫外発光材料の欠如、ならびにワイドバンドギャップp-型窒化物の欠如のため、未だ実現していない。本研究は波長300-360nmの紫外領域の高輝度発光ダイオードを実現することを目的とする。そのため、ワイドバンドギャップAlGaNにInを加え、4元混晶内でのIn組成変調効果を用いることにより、300nm帯紫外常温高効率発光、および、高濃度p型ドーピングを実現し、それらの技術を用いて300-350nm帯後期度LEDを実現する。 平成15年度は、InAlGaN4元混晶を用いたLEDの高効率化を追及した。InAlGaN4元混晶はフォトルミネッセンス発光では高輝度発光が得られるが、LED構造とし電流注入を行うと、貫通転位の影響によるリーク電流のため、発光強度が低下する。そこで、貫通転位密度が少ないGaN基板上にLEDを作成し、高効率化を図った。GaN基板上LEDにおいて、コンタクト吸収層の除去、電子ブロック層の挿入、InAlGaN発光層の高温成長、GaN基板上バッファー構造の最適化等の構造改善を行うことにより、高出力紫外LEDを実現した。紫外出力は、室温CW動作において6.3mW(358nmLED)、および3.2mW(351nmLED)が得られた。
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