電子線実体位相顕微鏡の開発

2002 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 14205008
• 研究機関: 名古屋大学
• 研究代表者: 丹司 敬義 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (90125609)
• 研究分担者: 陳 軍 東京工芸大学, 工学部, 助教授 (90308338) ; 田中 成泰 名古屋大学, 理工科学総合研究センター, 講師 (70217032) ; 市橋 幹雄 名古屋大学, 理工科学総合研究センター, 教授 (90345869)
• キーワード: 電子線ホログラフィ / 実時間ステレオ電子顕微鏡 / ステレオ位相顕微鏡 / 透過型電子顕微鏡

研究概要

本研究で開発を目指す、電子線実体位相顕微鏡は、電界放出電子銃を搭載した、電子線ホログラム記録装置を基礎に構築する「実時間ステレオ電子線ホログラム作製システム(システムA)」と、小型He-Neレーザと液晶位相変調素子を組み込んだ「二重露光ホログラム同時再生光学システム(システムB)」とからなる。システムAには、照射系と結像系にそれぞれ電子線プリズムが組み込まれており、電子波は試料の一部を平行照射、また一部を斜め照射することができる。また、プリズムのフィラメント電位の正負を逆転することで、照射角度を左右反転させることができる。このような照射系により、試料の観察したい領域を斜め照射した物体波と、試料のない真空部分を平行照射した参照波とを結像系の電子線バイプリズムにより重ね合わせてホログラムを作る。このようにして、同一視野で視差角だけ照射角の異なる2枚1組のホログラムができる。現在、結像系に入れる電子線バイプリズムは稼動しており、照射系用電子線台形プリズムを設計製作中である。(以上、丹司、市橋担当)
こうして得られる1組のホログラムを1/60秒毎に切り替えながら、高感度TVカメラを用いて時系列でシステムBの液晶位相変調素子に転送する。この光学系では、システムAで左右に照射角を変えて作製されたホログラムからできる2種類のサイドバンドを分離・再生し、TVカメラを通してステレオ画像表示モニターにて出力する。これにより、観察者は、位相物体を実時間で立体観察できる。現在システムBは組みあがって、使用可能な状況にあるが、同時に、このシステムBの光学系を用いて、本研究の目指す実体位相顕微鏡をレーザ光学によりシミュレーションするべく、1/60秒毎にすばやく切り替わるレーザ照射光学系を製作中である。(以上、陳担当)

研究成果

• [文献書誌] 丹司敬義: "磁性グラニュラー膜のローレンツ顕微鏡観察"まてりあ. 41・12. 890-891 (2002)
• [文献書誌] S.Tanaka, T.Tanji 他4名: "Transmission electron microscopy study of the microstructure in selective-grown GaN and an AlGaN/GaN heterostructure on a 7-degree off-oriented (001) Si substrate"Jpn. J. Appl. Phys.. 41・7B. L846-L848 (2002)
• [文献書誌] T.Tanji, S.Hasebe, T.Suzuki: "Fine structures in new magnetic materials"Microscopy and Microanalysis. 8・suppl.2. 30-31 (2002)
• [文献書誌] K.Yamamoto, T.Hirayama, T.Tanji, M.Hibino: "Effects of Fresnel corrections for phase-shifting electron holography"Microscopy and Microanalysis. 8・suppl.2. 24-25 (2002)
• [文献書誌] M.Hibino, T.Tanji 他5名: "Phase contrast transfer function of spherical aberration corrected objective lens"Proc. 15th Int. Cong. on Electron Microscopy, Durban, South Africa. Vol.3. 39-40 (2002)
• [文献書誌] S.Tanaka, T.Tanji 他3名: "TEM characterization of (1-101)GaN grown selectively on 7-degree off-orientated (001)Si substrate"Proc. 15th Int. Cong. on Electron Microscopy, Durban, South Africa. Vol.1. 117-118 (2002)