研究課題/領域番号 |
14205009
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山田 啓文 京都大学, 工学研究科, 助教授 (40283626)
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研究分担者 |
小林 圭 京都大学, 国際融合創造センター, 助手 (40335211)
石田 謙司 京都大学, 工学研究科, 講師 (20303860)
堀内 俊寿 京都大学, 工学研究科, 講師 (10238785)
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キーワード | 非接触原子間力顕微鏡 / NC-AFM / 分子分解能観察 / アルカンチオール / 分子分極 / 単一分子物性評価 / 周波数検出 / VDFオリゴマー |
研究概要 |
ナノスケール分極や局所表面電荷の評価は、走査プローブを用いた局所静電気力の計測により高分解能・高感度な測定が可能となる。特にケルビンプローブ法による表面電位ナノ計測は、非接触ダイナミック動作の原子間力顕微鏡との組み合わせが適することから、現状では単一分子レベルの分極計測法としては確立していないものの、高分解能計測を目指す上で有力な手法である。本年度の研究では、さらに高感度な静電気力計測を可能とするために低温環境で動作する非接触AFMを開発するとともに、ダイナミックモードで用いられる周波数・位相変調検出法による静電気力計測をさらに改良することで、カンチレバー機械共振を利用した力検出の高感度化を図り、高分解能静電力走査プローブ技術を開発した。 本研究では、強誘電性有機分子試料として、P(VDF/TrFE)またはVDFオリゴマーを使用しているが、これまでのわれわれが行ってきた実験により、P(VDF/TrFE)などの高分子系の薄膜では良好な強誘電性を示すがその分子配向性は高くなく、一方オリゴマー系(VDF)の薄膜では分子配向性は高いものの強誘電体構造である1型構造を導電性基板上ではとりにくいことが分かっている。本年度の研究では、基板上に形成された結晶場や基板結晶面とステップの相互作用を利用して高配向の薄膜を形成することに成功した。また高分子試料系では、溶液中の分子をミスト化してノズルを通して分子線として真空槽に導入し基板に堆積するスプレー堆積法を用いる装置を新たに試作開発し、薄膜の構造を原子間力顕微鏡により評価した。さらに分子内双極子をもつ低分子系(Pb-phthalocyanine)を用いて、高配向単分子膜の作製を試みた。
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