(1)THz波光源の広帯域化 巨大非線形光学効果を有する有機DAST結晶と2波長光源を組合わせることにより、波長可変コヒーレントTHz波光源の実現が可能である。発生するTHz波の周波数可変域を拡大するためには、DAST結晶のTHz波域における位相整合条件を最適化した2波長光源必要であり、KTP結晶の回転によるビームシフトを除去した波長域1250〜1450nmの新しい光パラメトリック発振器を開発することにより、2〜30THz域の広帯域THz波発生を確認した。また、3THz以下を発生させるためには、理論計算の結果1000nm付近の2波長光源が有効であることを見出し、光軸に対し70度のKTP結晶を2ヶ用いた光パラメトリック発振器を532nmで励起することにより900〜1000nm域の2波長可変光源を開発した結果、厚み1mmのDAST結晶において0.3〜3THz域のTHz波発生を確認した。これらの実験的研究の結果を合わせ、0.3〜30THz域の広帯域THz波発生が可能であることを世界で初めて見出した。 (2)THz波光源の高出力化 昨年度までの研究の結果、4THz域においてTHz波のピークパワーが0.1W程度であったが、本年度において、光パラメトリック発振器の高出力化(0.5mJ以上)と、不純物を低減した高品質DAST結晶を用いた結果、4THz域において3.8W、11THz域において10W、19THz域において14Wのピークパワーが得られ、昨年度の10倍以上の高出力化を実現した。 (3)SFGイメージング 和周波発生(SFG)を利用するとTHz波強度に比例したSFG光波の発生が可能であり、効率の良いSFGに必要な位相整合条件の理論解析を行った。
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