研究概要 |
(1)シリコンの結晶異方性エッチングの研究 シリコン単結晶の結晶異方性エッチング特性が,エッチング液,添加剤などに依存して大きく変化する現象を,エッチング面のモフォロジーの変化と関連づけて研究する目的で,エッチング中のシリコン表面に発生する微細な凹凸模様の変化をin-situで光学的に観察する装置を設計製作した.来年度から観察を開始する. TMAH(Tetra Methyl Ammonium Hydroxide)水溶液に微量の界面活性剤を添加するとエッチング速度の異方性が激変する現象に関して,界面活性剤の分子構造とそのエッチング特性への効果,ならびに,界面活性剤の添加量の効果を明らかにするため,構造の異なる界面活性剤を入手して比較実験を開始した. 高濃度のKOH水溶液では一般にエッチング速度は低下するが,摂氏100度以上の高温でエッチングすると,エッチング速度はきわめて大きく,かつ(110)において平滑なエッチング面が得られることがわかった. (2)水晶の結晶異方性エッチング特性評価の検討 水晶単結晶インゴットから球形試験片を製作し,エッチング前後の表面形状変化からエッチング速度の異方性を全方位に渉って測定した.水晶に関して従来公表されている限られた方位のエッチング速度と上記データとを比較して,球形試験片を使った全方位のエッチング速度測定法の妥当性を検証した.本研究で初めて得られた全方位のエッチング速度のデータを,すでに開発済みのエッチングシミュレータに入力して,矩形のマスクパターンを持つ水晶ウェハのエッチング中の形状変化を解析できることを確認した.ただし,きわめてエッチング速度の小さいm面を含む領域については,エッチング速度の測定をさらに精密に行うことが必要と考えるので,今後さらにエッチング速度測定を追加して実施して,詳細なエッチングデータベースを完成させる予定である.
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