研究課題
マイクロエンジン発電機を実証する上で最重要な技術項目であるエンジン燃焼試験に成功した。前年度までの研究でピストンの空気圧駆動に成功し、提案するマイクロスケールのエンジンの構造概念が有効であることを確認した。本年度は、過去2年間の試作と実験結果を総合的に評価することにより、燃焼室の最適寸法、吸気・排気口の寸法と位置、燃焼に必要な燃料の混合比の3つの重点項目を再検討してエンジン燃焼に向けた問題点を抽出した。その結果、新しい構造のエンジンを設計試作するとともにその燃焼を実現した。シリコンSOI基板のバルクマイクロマシニングにより、ピストン、点火プラグを有するシリンダーケースと燃焼室を加工した。各部品を共晶接合や直接接合により組み立てることによりデモエンジンを完成した。燃焼実験用に、燃焼用水素・酸素混合気の微小体積流量が制御可能で、逆火防止装置を完備した専用の燃料ガス供給ラインを設計試作した。燃焼実験ではマイクロ圧力センサを燃焼室に組み込みことによりエンジンの燃焼圧を計測した。燃焼によるピストン変位と速度は、高速度カメラとレーザードップラー振動計を併用することにより計測した。以上の準備により、水素・酸素の予混合比=2:1=6sccm:3sccm(ストイキオメトリー燃焼)で燃焼圧150kPaの燃焼に成功した。燃焼によるピストンの変位は200マイクロメートルであった。これらの実験値は理論値の約50%であり、ピストンとシリンダーケースのシーリング(クリアランス)や摩擦の問題を解決する必要があることが改めて浮き彫りになった。シーリング(クリアランス)や摩擦の問題に関しては新規に研究費を申請して継続的な研究を実施する予定である。また、ピストン変位から見積もった発電量は約20mWであり、目標値の約半分の値を達成できる見通しを得た。
すべて 2004
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The Fourth International Workshop on Micro and Nanotechnology for Power Generation and Energy Conversion Applications 1
ページ: 80-83