研究概要 |
本年度は,均質固体のき裂進展速度の極限値を得るために,荷重漸増型負荷実験装置を作成した.本装置により,均質固体材料の高速き裂進展実験を行った.本装置および本科研費にて購入した超高速度ビデオにより,材料のせん断波速度の77%にまで達し得るき裂進展速度が観察できた.き裂進展速度の増大とともにき裂面粗さが増大していく傾向が,レーザー変位計により評価できた.また,き裂進展時の荷重の変化履歴を計測できるシステムを実験装置に付与し,破壊時の荷重変動を計測することに成功している.次年度は,光学的実験手法を組み合わせて,き裂先端周辺の応力場の情報を得て,極限高速破壊時のき裂先端近傍力学場の状況を明らかにする予定である. 数値解析を用いた研究では,移動有限要素法を発展させて,複数荷重システム下の高速き裂進展を再現できる数値シミュレーション法,き裂面の接触・摩擦を考慮した二次元界面遷音速破壊シミュレーション法およびき裂前縁のえん曲を再現できる三次元高速き裂進展の数値シミュレーション法を開発した.特に界面遷音速破壊においては,エネルギー流入・流出の状況を可視化することに成功した.界面を進展するき裂先端において低剛性側材料側から,多量の破壊エネルギーの供給を得ることが破壊力学パラメータだけでなく力学量分布からも明らかになった. また,き裂面接触時の界面遷音速破壊き裂先端近傍の変形場を解析的に求め,分離動的J積分を本問題に適用できるように定式化した.次年度は,この解析解に基づき光学的実験手法から破壊力学パラメータを求める評価式を求める予定である. 以上の成果については,次項に示すようにフルペーパーとして件,国際会議にて件,国内会議にて件を発表している.
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